WOW WORLDは23年3月期2Q累計減益だが計画超で着地

(決算速報)
 WOW WORLD GROUP<5128>(東証プライム)(WOW WORLDが単独株式移転によって設立した持株会社が22年10月3日付で新規上場、WOW WORLDは22年9月29日付で上場廃止)は、10月31日に23年3月期第2四半期累計連結業績(WOW WORLD)を発表した。積極的な先行投資や一過性費用の発生などの影響で減益だが、クラウドサービスが牽引し、前回予想(8月5日付で下方修正)に対して減益幅が縮小して着地した。通期の連結業績予想は据え置いている。第2四半期累計の進捗率は低水準の形だが、第2四半期以降に収益回復傾向を強めていることを勘案すれば、通期予想の達成は可能だろう。先行投資の成果で収益改善基調を期待したい。株価は持株会社上場後の高値圏で推移している。上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期2Q累計減益だが計画超で着地、通期予想据え置き

 23年3月期第2四半期累計連結業績(IFRS、上場廃止となったWOW WORLDの実績、8月5日付で下方修正)は、売上収益が前年同期比2.0%増の14億15百万円、EBITDAが33.6%減の2億40百万円、営業利益が63.4%減の86百万円、親会社株主帰属四半期純利益が63.9%減の51百万円だった。

 積極的な先行投資(マーケティングや開発体制の強化)や、一過性特殊費用の発生(官公庁取引継続のために必要なISMAP認証取得費用、持株会社移行対応費用など)などの影響で減益だった。ただし、クラウドサービスの伸長(8.9%増の8億36百万円)が牽引し、前回予想(8月5日付で下方修正、売上収益14億10百万円、EBITDA2億円、営業利益60百万円、親会社株主帰属四半期純利益30百万円)に対して、売上収益は5百万円、EBITDAは40百万円、営業利益は26百万円、親会社株主帰属四半期純利益は21百万円それぞれ上回り、減益幅が縮小して着地した。

 エンタープライズ・ソフトウェア事業の売上高は2.1%増の9億64百万円だった。WEBCASオンプレミスが減収だが、クラウドサービスWEBCAS SaaSが伸長し、子会社コネクティのCMSも寄与した。売上高総利益率は65.5%で2.6ポイント低下した。

 大規模Web開発事業の売上高は14.1%増の2億90百万円だった。売上高総利益率は14.3%で15.5ポイント低下した。子会社コネクティのCMSを活用したウェブサイト構築案件の増加などで増収だが、外注費の増加で減益だった。

 コミュニケーション支援・コンサルティング事業の売上高は8.3%減の1億15百万円だった。売上高総利益率は19.8%で5.0ポイント上昇した。採算重視の方針に転換したため減収だが、収益性が改善した。

 その他(子会社ままちゅによるベビー服ECサイト「べびちゅ」運営など)の売上高は3.2%増の45百万円だった。売上総利益率は40.2%で2.5ポイント低下した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上収益が6億79百万円、EBITDAが78百万円、営業利益が4百万円の赤字、第2四半期は売上収益が7億36百万円、EBITDAが1億62百万円、営業利益が90百万円の黒字だった。クラウドサービスの伸長などで収益回復傾向を強めている。

 通期連結業績予想(IFRS任意適用および純粋持株会社に移行のため前期比増減率は非記載、8月5日付で下方修正)は据え置いて、売上収益が30億円、EBITDAが6億20百万円、営業利益が3億30百万円、親会社所有者帰属当期純利益が2億円としている。配当予想は22年3月期比3円増配の33円(期末一括)としている。連続増配予想となる。

 22年3月期実績(WOW WORLDのIFRS適用のための監査実施後の実績値)との比較で、売上高は5.9%増収、EBITDAは7.0%減益、営業利益は17.3%減益、親会社所有者帰属当期純利益は18.2%減益となる。

 クラウドサービスが伸長して増収だが、積極的な先行投資や一過性費用の発生などの影響で減益予想としている。売上拡大に向けて新規顧客獲得に向けた営業強化、既存顧客向けのクロスセル・アップセル、新サービス「WOW engage」の拡販などを推進している。さらにコスト面では外注費や不要不急の経費の抑制などを推進する。

 第2四半期累計の進捗率は売上収益が47.2%、EBITDAが38.7%、営業利益が26.1%、親会社所有者帰属当期純利益が25.5%と低水準の形だが、クラウドサービスの伸長などで第2四半期以降に収益回復傾向を強めていることを勘案すれば、通期予想の達成は可能だろう。先行投資の成果で収益改善基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価は水準を切り上げて持株会社上場後の高値圏で推移している。上値を試す展開を期待したい。10月31日の終値は987円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS50円00銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の33円で算出)は約3.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS385円57銭で算出)は約2.6倍、そして時価総額は約40億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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