【株式市場特集】金先物高騰で「ジパング」再生、産金・都市鉱山・リユース株に年末ラリーの主役

■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風

 今週の当コラムは、金先物関連株を注目することにした。かつて日本は、黄金の国「ジパング」といわれたが、この再生の先取りである。国内金鉱山の採掘、膨大な金が退蔵されている「都市鉱山」と「家庭内隠れ資産」の開発がこのエンジンになるかもしれないからである。当コラムで再三取り上げたセクター株だが、年末ラリーで「ジパング」再生の金の輝きを増す展開も想定される。定番銘柄の産金株、「都市鉱山」開発で躍進するリデュース(再資源化)株、「家庭内隠れ資産」をビジネスチャンスに変えるリユース(買い取り・再販)株にアプローチするところだろう。

■産金株は金の想定価格と今期業績を2回上方修正し増配も

 金関連株は、前週末5日に銅価格の上昇をハヤして株価が軒並み急騰したが、金先物価格の上昇も追撃材料として注目される。関連株のトップバッターは、世界最高品位の菱刈鉱山で採掘事業を続けている住友金属鉱山<5713>(東証プライム)だろう。これに続くのが同じく産金株の三井金属<5706>(東証プライム)、三菱マテリアル<5711>(東証プライム)、DOWAホールディングス<5714>(東証プライム)となる。三井金属は、子会社が串木野鉱山で産金活動を続け、三菱マテリアルは純金積立事業のほか子会社に世界遺産の佐渡金山観光事業会社があり、DOWAホールディングスは鉱種豊富な黒鉱の開発のほか、リデュース事業にも注力している。

 4社のうち三井金属と住友金鉱が今3月期業績を2回上方修正し、DOWAHDが一回上方修正し、三井金属とDOWAHDは今期配当の増配を予定している。このうち住友金鉱は、上方修正のたびに金の想定価格を2回見直し、今期通期想定を期初の1トロイオンス=2800ドルから3070.1ドル、3533.6ドルへとそれぞれ引き上げたが、足元の金価格はこの想定価格を大きく上回っている。このほか意外関連株として浮上しそうな銘柄は住友商事<8053>(東証プライム)で、1953年に閉山した山ケ野鉱山(鹿児島県霧島市)で高品位の金鉱脈が発見されたと伝えられ、同鉱山の掘削調査共同体に同社が12.5%の権益を保有していることが、見直される可能性もあるためである。

■「都市鉱山」、「家庭内隠れ資産」の開発でリデュース株とリユース株にビッグチャンス

 日本の「都市鉱山」に世界の金埋蔵量の16%を占める約6900トンの金が眠っていると推計されている。この「都市鉱山」開発をビジネスにしているのが貴金属回収・再生のリデュース株で、コード番号順にあげると中外鉱業<1491>(東証スタンダード)、JX金属<5016>(東証プライム)、アサカ理研<5724>(東証スタンダード)、AREホールディングス<5857>(東証プライム)、松田産業<7456>(東証プライム)と続く。このうちAREホールディングスと松田産業が、金価格上昇、販売数量増で今3月期業績を上方修正し配当も増配を予定している。

 家庭内の「隠れ資産」は、メルカリ<4385>(東証プライム)の推計によれば91兆円に達し、今年年末の大掃除では9兆9373億円の不要品が捨てられるとされた。またこの「隠れ資産」をビジネス商材にして国内のリユース(買い取り・再販)市場は、2023年の3兆円超から2030年には4兆円超に高成長するとする予測もある。関連株をコード番号順に列挙するとハートオフコーポレーション<2674>(東証プライム)、ゲオホールディングス<2681>(東証プライム)、コメ兵ホールディングス<2780>(東証スタンダード)、トレジャー・ファクトリー<3093>(東証プライム)、シュッピン<3179>(東証プライム)、買取王国<3181>(東証スタンダード)、BuySell Technologies<7685>(東証グロース)などとなり、ネット系のマーケットエンタープライズ<3135>(東証プライム)やフリマアプリのメルカリも一角を形成する。このうち低PER株はコメ兵HDの7倍、買取王国の8倍、ハートオフコープの10倍がベスト3で、配当利回りはハートオフコーポの4.19%、シュッピンの4.02%、コメ兵HDの3.86%がベスト3となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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