【株式市場特集】IPO株にリベンジ相場の兆し、66社の希少性が投資家心理を刺激

■年初端境期が追い風、セカンダリー相場に注目

 市場関係者は、今年公開されたIPO株に「リベンジ相場」への兆しが出始めたとの見方を示した。今年のIPOは66社と希少性があり、公開後1年近くを経ても公開価格を下回る銘柄には株主・投資家への説明責任が意識されやすい。例年1月、2月は新規上場が端境期となり、既存IPO株のセカンダリー相場には資金が向かいやすい環境にある。足元では初値割れ後に急反発する動きも見られ、年内に残る5銘柄への関心が高まるとともに、カタリストを備えたスタンダード市場や直接上場株を中心に再評価期待が広がりつつある。

【リベンジ相場】=公開価格割れや初値割れなどで不振だったIPO株が、その後の業績進展や材料、需給改善などを背景に、株価を持ち直す局面を指す市場用語である。

■最割安PER株は6倍、高配当株は6.3%と売られ過ぎ修正の資格要件充足

 東証スタンダード市場のバリュー系IPO株をあげると、19日終値が初値を下回り、その初値も公開価格を下回ったメディックス<331A>(東証スタンダード)のPER6倍以下、7倍のプリモグローバルホールディングス<367A>(東証スタンダード)、8倍のレント<372A>(東証スタンダード)、10倍のUNICONホールディングス<407A>(東証スタンダード)、ライオン事務器<423A>(東証スタンダード)、12倍のみのや<386A>(東証スタンダード)、伊澤タオル<365A>(東証スタンダード)と続きベスト7となる。この7銘柄は、配当利回りも、プリモグローバルの6.3%以下、伊澤タオルの5.6%、ライオン事務器の4.5%、UNICON、レント、オーバーラップ、メディックスが3%以上となっている。また他市場銘柄では、パパネッツ<9388>(福証Q)がPER10倍、配当利回り3%、山忠<391A>(名証メイン)が同じく6倍、3%の評価にしか過ぎない。この9銘柄は、メディックスのように初値はもちろん公開価格さえ下回っているケースが含まれておりリベンジ相場への期待は高い。

 このほか東証グロース市場株では、オーバーラップホールディングス<414A>(東証スタンダード)がPER10倍、配当利回り3.4%と際立ち、配当は無配予想だが低PERとして7倍のプログレス・テクノロジーズグループ<339A>(東証グロース)、9倍のリップス<373A>(東証グロース)、フィットクルー<469A>(東証グロース)、11倍のLOIVE<352A>(東証グロース)、12倍のハンワホームズ<275A>(名証ネクスト)もマークするところだろう。フィットクルーは、前週末19日に上場来安値更新となったが、リバウンドするか要注目となる。またジグザク<340A>(東証グロース)、デジタルグリッド<350A>(東証グロース)、ウリドキ<418A>(名証ネクスト)は、すでに株式分割を実施した。

■直接上場株は「大きく育った」JX金属など時流性十分のカタリストが続々

 直接上場の7銘柄では、NSグループ<471A>(東証プライム)が、公開価格を下回って初値をつけたほかは、パーシャル・スピンオフ(子会社株式の分離・一部保有)でIPOされたソニーフィナンシャルグループ<8729>(東証プライム)を含めて公開価格を上回る初値を形成した。ただ前週末19日終値が公開価格、初値を上回っているかどうかはマチマチである。このなかで「小さく産んで大きく育った」のがJX金属<5016>(東証プライム)である。初値は、公開価格820円に対してわずか2.8%上回る843円でつけたが、2回にわたる今3月期業績の上方修正や増配、銅価格の上昇、半導体用成膜材料と化合物半導体の増産設備増強、再資源化設備の積極投資などのカタリスト(株価材料)のフォローが続いて一時、上場来高値2339円まで買われ、前週末19日の終値1722円も、公開価格比2.1倍の水準にある。前週末にも国内銅建値の値上げを発表しており高値反応しそうだ。

 NSグループとテクセンドフォトマスク<429A>は、前週末19日がともに公開価格と初値を下回っているが、PERはそれぞれ12倍、15倍と市場平均の18倍を下回っており、NSグループの配当利回りは2.3%となる。オリオンビール<409A>(東証プライム)は、公開価格は上回っているものの初値からは500円幅のダウンとなっており、配当利回りは3.07%、PERは16倍と下げ過ぎを示唆している。ソニーフィシャルグループとSBI新生銀行<8303>(東証プライム)は、日銀が政策金利を引き上げ国内長期金利が、2・02%と26年ぶりの高水準となるなか、金利敏感特性人気などを高めメーンプレーヤーの一角で存在感を発揮しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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