【木村隆のマーケット&銘柄観察】マブチモーターは増配など株主策優遇策を実施へ

木村隆のマーケット&銘柄観察

マブチモーター<6592>(東1)が出直りの様相を呈している。きっかけとなったのは12月31日現在の株主を対象に、1株を2株とする、株式分割を発表したことが手掛かり。投資単位当たりの金額の引下げにより、投資家が投資しやすい環境を整える。同社株式の流動性の向上、投資家層の拡大などを図る。

なお、同社では今期は増配を計画している。今期計画は年間166円、うち上期末83円、期末83円を予定している。長期安定的な配当である普通配当1株当たり年60円を継続的に実施し、業績に準じて特別配当を実施する。この比率を前期までの20%から今期は30%へ引き上げており、株主還元強化の姿勢がうかがえる。

自己株式の取得については、株価や経営環境の変化に対する機動的な対応、資本政策および株主に対する利益還元の一方法として、適宜その実施を検討していくとしており、株主重視の姿勢に転換している。

同社は小型モーターの大手メーカー。モーターには、主にHDDなど精密機器に用いられるブラシレスと、自動車のパワーウインドウや、AV機器の光ディスクの取り出し用のトレイなど、より大きなものを動かすのに用いられるブラシ付きとがあるが、同社はブラシ付きモーターを主力とする。

高性能が求められる自動車電装機器向けの強化で収益の回復を目指しているが、米国及び新興国の需要が順調に推移し、欧州にも一部底打ちが感じられる。家電機器・工具・玩具市場、精密・事務機器市場は、住宅関連や個人消費が堅調に推移した米国に牽引され、新興国需要も継続して好調だ。

今2014年12月期は営業利益156億円(前期93億円)への増額が有力で、来期は195億円への続伸が有力だ。利益の伸びに見合う形で、株価も前進していくことになりそう。(木村隆:日本証券新聞取締役編集局長を経て株式評論家)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る