【編集長の視点】ツバキ・ナカシマは反落も配当権利落ち後安値を前に割安直近IPO株買いが根強い

編集長の視点

 ツバキ・ナカシマ<6464>(東1)は、41円安の1650円と反落して始まっている。きょう12日の日経平均株価が、世界同時株安の影響を受け321円安と6営業日続落してスタートしたことから、同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行している。ただ同社株は、昨年12月16日に東証第1部に新規株式公開(IPO)されたばかりで、今年1月7日につけた配当権利落ち後安値1646円を前にして下げ渋り、下値には直近IPO株買いが根強く続いている。IPO後の初決算に当たり目下集計中の前2015年12月期業績が、2ケタ増益と予想され、さらにIPO時に開示した前2015年12月期第3四半期(3Q)業績が、12月通期業績対比で高利益進捗率を示したことも見直されている。

■目下集計中の初決算の2015年12月期業績は2ケタ増益と好調

 同社の2015年12月期業績は、売り上げ390億円(前期比8.2%増)、営業利益70億円(同34.1%増)、純利益46億円(同19.7%増)と予想され、配当も33円を予定している。同社は、精密球(ボールビジネス)とボールネジ及び送風機(リニアビジネス)の製造販売を国内外の連結子会社14社とともに行っており、ボールベアリングに使用される精密球が、世界的な自動車生産や工作機械需要の好調な推移を享受し、さらに戦略製品であるセラミック球が、スマートフォン向け工作機械用途に販売が拡大、さらに為替の円安影響も加わることが要因となる。

 IPO時に開示した2015年12月期3Q業績は、前年同期比11.6%増収、45.1%営業増益、20.8%純益増益で着地し、12月通期業績対比の利益進捗率は、81%~82%と目安の75%を上回ったが、第4四半期売り上げは、3Q累計実績に対して減速を見込んで12月通期業績を予想している。セラミック球の需要は、スマートフォン向け工作機械用途が、今年前半から減速したあとも、その他工作機械、産業用モーター、空調機器向けなどの用途が徐々に拡大、堅調に推移しているとしており、今後の決算発表に注目が集まることになる。

■再上場株の大化け連想も誘いPER14倍台水準から下げ過ぎ訂正に弾み

 同社株は、2007年に経営陣・従業員による株式公開買い付け(MEBO)によりいったん上場廃止となり、昨年12月に公開価格1550円で再上場され、初値を1620円でつけ、上場来高値1804円まで買い進まれ、1670円で配当権利を落とした。PERは、前期推定ベースで14倍台と割安であり、さらに再上場株では2012年9月上場のJAL<9201>(東1)がその後、公開価格に対して株式分割の権利落ちを換算して落ち後高値まで2.5倍、2014年4月上場の西武ホールディングス<9024>(東1)が、同じく上場来高値まで2.3倍化、2014年10月上場のすかいらーく<3197>(東1)が、同63%高しているケースもあり、全般相場の落ち着きとともに、東証株価指数への算入開始と伴う好需給思惑も加わって大化け連想を誘い、一段の下げ過ぎ訂正に進もう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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