日経平均の2月末24カ月線キープに注目、NYダウはボトムから1100ドル上昇で反落の可能性も=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

 来週(29日~3月4日)は、29日が2月相場最終日で、日経平均が、「24カ月線」割れを回避できるかどうかが注目される。仮に、24カ月線を下回ると2012年12月以来、3年2カ月ぶりとなって、中・長期相場が上昇相場から下降相場に転じることになる。

 現在、24カ月線は1万7590円前後に位置し、これを上回るにはここから日経平均は約1150円高が必要となる。日銀の新政策が飛び出せば回避は可能だろうが、今の時点では24カ月線奪回はかなり難しそうである。

 24カ月線は、企業業績に対する信頼度を反映したものといわれる。その企業業績に黄色信号が点滅している。海外の事業環境が、中国経済の減速、さらに、中国に影響を受けた新興国の停滞、しかも牽引役だったアメリカ景気にも陰りが見え始め、とくに、日本には円高が直撃となっている。しかも、アメリカでは大統領選挙モードに突入。選挙運動では、TPP反対、日本の円安政策に対する批判などが声高に伝わってきているなど、政治面でも先行きに楽観できない状況だ。

 もちろん、2月に月足が売り転換になったとしてもダマシの可能性はある。とくに、3月に日銀の量的緩和策が出れば、急反発に転じて24カ月線を上抜く可能性はあるだろう。

 足元では、NYダウが1万5500ドル前後でトリプルボトムを形成したことから、チャート好転を支えに1万6700ドル前後に上値を伸ばしている。今後は、ボトムから約1100ドル上昇、G20の評価、上値のフシ1万7100ドル接近などが重なって徐々に上値は重くなる可能性がありそうだ。

 このNYダウに対し日経平均はマイナス乖離が25日まで10営業日続き日経平均の弱い状態が続いている。背景には、(1)日本のGDPの停滞(15年10~12月期はマイナス年率1.4%)、(2)企業業績の先行き不安などがあるためで、両方の現状を考えると日経平均がNYダウを上回ってサヤ拡大となることは難しそうである。

 3月相場入りという心理的プラス効果もあって、3月上旬までは強調展開が予想されそうだ。しかし、3月決算末に絡んだ売りが出ることも予想されることから徐々に上値は重くなりそうだ。とくに、NYダウは1100ドル上昇していることから反落の芽を含んでおり深追いは慎むところだろう。3月期決算の好業績・好利回り銘柄が注目される展開だろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シスルナ経済圏構築に向け、グローバルなパートナーシップを強化  ispace(アイスペース)<9…
  2. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  3. ■物価高・人手不足が直撃、倒産件数29カ月連続で増加  帝国データバンクの調査によると、倒産件数が…
2024年12月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

ピックアップ記事

  1. ■業績上方修正、増配、自己株買い…メガバンクが躍進  同コラムでは、11月11日付けで業績を上方修…
  2. ■サンタクロースはGPIF?日経平均急騰の背景と、日米中銀の思惑  突如、「餅つき相場」、「クリス…
  3. ■低位株と割安銘柄で挑む12月決算市場  12月期決算銘柄の師走相場では、業績を上方修正し増配を発…
  4. ■師走相場、守りと攻めの二刀流で挑む年末投資戦略  「守るも攻めるも」あと1カ月である。師走相場が…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る