【業績でみる株価】帝人の16年3月期大幅増益も今期は2ケタ減益、株価24カ月線攻防

業績でみる株価

 帝人<3401>(東1・1000株)は、6日(金)に2016年3月期決算を発表、原料価格の低下効果で営業利益は71.7%の大幅増益だった。週明け9日(月)の株価は16円安の366円と前日の2円安を上回る下げとなっている。前期の好決算は織込み済みだったようで、今期が一転して2ケタ減益となることが株価を押し下げている。

 16年3月期は売上0.6%増に対し営業利益は71.7%増の671億3000万円と利益の伸びがよかった。原油価格下落等による原料低下と構造改革の効果が大きかったという。EPSは31.6円(15年3月期はマイナス8.2円)、配当は年7円(同年4円)だった。

 17年3月期は売上2.0%減の7750億円、営業利益13.6%減の580億円の減収減益見通し。純利益は構造改革に伴う特損の減少で15.8%増の360億円、EPS36.6円。とくに、配当は連続3円増配の年10円とするころが最大の特徴といえる。

 アラミド繊維『トワロン』が欧州のタイヤ向け、防寒衣料用『コーネックス』、航空機向け炭素繊維『テナックス』などが好調なことから17年3月期は固めの予想といえる。今期営業利益率は7.5%と前期の8.5%からは低下するが15年3月期の5.0%に対して大きく向上、構造改革が実を結んでいるといえる。今期年10円配当に対する配当性向は27.3%(前期22.1%)と30%を下回り余裕がある。

 個別信用残では買残が多いが、日証金では売り買いが接近している。チャートでは月足がポイントといえる。24カ月線攻防となっているからだ。5月末株価が371円以上なら24カ月線を維持し2012年からの上昇相場をキープすることができる。

 配当利回り2.7%、PER10.0倍と、今期の2ケタ減益ということでみても指標面での割高感はない。恐らく、5月末株価は24カ月線をキープするものとみられる。ただ、今期が減益だけに15年6月の499円を上抜く元気はないだろう。360円台を仕込んで450円前後で利食うのがよいと思われる。

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