【業績でみる株価】巴工業は北米油井向け落ち込みを吸収して今期利益は上振れの可能性

■高利回り、低PBRで中期好買い場

 巴工業<6309>(東1・100株)の2016年10月期・第2四半期(11~4)は北米油井向けの落ち込みなどで前年同期比1.2%減収、営業利益1.7%減益だった。通期では前期比6.2%増収、営業利益4.9%減益見通しだが、第2四半期での営業利益進捗率が69.5%と高いことから通期利益上振れの可能性が強く増益となることも期待されそうだ。株価は2014年10月の1950円から原油安が影響して調整の展開だが、今年2月の1328円で底打ち、足元では26週線を奪回、上値指向を強めている。

 売上は、『機械製造販売事業』(構成比率約25%)と、『化学工業製品販売事業』(同約75%)の2事業。とくに、機械事業の柱の遠心分離機は、脱水、分離、省電力など世界一の精度と評価が高い。アメリカのシェールオイル掘削向けに多く使われてきたが、原油安で落ち込んでいる。

 同社の山本仁社長(写真)は、「北米油井向けの機械、部品・修理の売上がすっぽり抜け落ちた。原油相場が80ドル程度にならないと新しい井戸の掘削は出ないだろうといわれており足元では北米油井向けは期待できない。このため、北米では化学、食品分野などを中心に日系企業および地場企業の開拓を進め、アジアでは遠心分離機、炭化装置を中心に成長著しいインド・東南アジアでの強化を図っていく。国内では官公庁需要が堅調、最近でバイオマスエネルギー(藻類)向けに遠心分離機が使われている」という。

 16年10月期は、機械事業売上が16.3%増の109億7000万円、化学品事業3.0%増の308億3000万円の合計売上418億円(6.2%増)の見通し。注目は、今期の粗利益率が機械事業において9.4%(前期7.1%)、化学事業でも15.9%(同15.7%)と向上する。営業努力、収益性の高い商材強化など堅実な努力による。今期営業利益は4.9%減の13億2000万円の見通しだが、第2四半期での進捗率が69.5%と高いことから通期見通しは上振れる可能性が強い。

 今期EPSは66.1円、配当年45円(中間22.5円)の見通し。13日の終値1450円はPERでは21.9倍とマーケット平均より高いが、利回りは3.1%と高く魅力的だ。シェールオイル関連の北米売上が落ち込んだものの、他分野及び他地域でカバー、今期営業利益が上振れの可能性のあることは大いに評価される。しかも、足元で原油相場が51ドルまで上昇するなど反発している。

 とくに、1株純資産2530円でPBRは0.57倍にすぎない。中期展開では2000円台乗せを目指した相場とみられる。1500円以下は中期買い場といえる。

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