サミット共同声明で世界景気対策がポイント、サミット後には日本の消費税問題も控え行方注視の展開=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

 来週は、26日と27日にサミットが予定されており、週前半はサミット待ちの閑散相場が予想され、後半は共同声明の内容によって相場が上か下かのどちらかに動くものとみられる。

 米国景気が堅調な以外は世界景気は停滞している。この点について、先進国最高の意思決定機関といえるG7サミットがどのような方向感を打ち出すか。思い切った財政出動が求められているが、財政健全を最重要とするドイツは難色を示している。歩調が合わなければ、また歩調があったとしても小さな景気対策の内容にとどまれば、世界景気の停滞は続くとみて世界のマーケットは失望売りとなることが予想される。

 とくに、日本は1~3月のGDPは年率プラス1.7%と回復したものの、消費がふるわないなど先行きの景気に楽観はできない状況。企業業績も、全体としてはなんとか堅調を持続しているが、アベノミクスで先行した主力企業には明らかに疲労感が出ている。こうした中で、来年4月の消費税10%実施に踏み切るのかどうか。その決定がサミット後になされる見通し。

 財政改革を考えれば、思い切った景気対策を打ち、同時に消費税実施に踏み切るべきだろうが果たしてどうなるのか。実施でも延期でも厳しいものはあるが、マーケットにはどちらかといえば延期より実施を好感するのではなかろうか。なぜなら、実施なら強力な景気対策が見込めるからだ。

 アメリカの6月追加利上問題も気になる。6月は延期とみられていたが、ここにきて実施濃厚との観測となっている。既に、NYダウはかなり大きく下げ利上げを織込み始めている。仮に、6月利上げとなれば次は12月まではないだろうから利上げ問題から数カ月間は開放され相場的には動きやすくなるはず。6月3日(金)の5月雇用統計発表あたりがポイントとなりそうだ。

 いずれにしても6月は日米のマーケットにとって大きい転換点となりそうだ。とくに、6月に日本の財政出動、日銀の追加金融緩和が実施されれば、夏相場に期待できそうだ。逆に、消費税延期、景気対策もそこそこ程度の内容なら夏相場はあまり期待できないだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る