ラクーンの今期は広告宣伝費やシステム開発費が嵩むものの増収増益で最高益更新を見込む

■海外流通額(SD exportと国内販売向けサイトでの海外流通額の合算)は前年同期比60%以上増加

 BtoB電子商取引「スーパーデリバリー」を運営するラクーン<3031>(東1)の今期17年4月期は、Paid事業と越境EC「SD export」に対し、広告宣伝費やシステム開発費等を集中的に投下するため、利益成長率が一時的に低下するものの、増収増益で最高益更新を見込む。

 今期17年4月期連結業績予想は、売上高25億円(前期比12.1%増)、営業利益4億20百万円(同6.7%増)、経常利益4億20百万円(同14.2%増)、純利益2億50百万円(同4.4%増)を見込む。

 前期16年4月期は、EC事業において、8月25日より開始している越境ECサービス「SD export」では、新たな決済手段として「ペイパル」を導入した。この他、時間をかけても安価な輸送手段で配送してほしいというニーズに対応し、日本郵便が提供する航空便と船便を導入した。その結果、海外の会員小売店数、流通額ともに堅調に増加し、海外流通額(SD exportと国内販売向けサイトでの海外流通額の合算)は前年同期比60%以上増加した。
 国内の流通額については、第1四半期、第2四半期、第3四半期と連続して前年割れが続いたが、第4四半期の様々な施策により回復傾向が見られ、再びプラス成長となった。
 CORECについては、3月15日より「CORE API」の提供を開始し、ユーザー各社が導入している販売管理、倉庫管理、会計管理等のシステムに自動でデータを取込むことができるようになった。このような取組の結果、ユーザー数は5,903社となり、受発注件数も順調に増加している。
 EC事業の売上高は、15億83百万円(前年同期比2.3%増)、セグメント利益(同4.5%減)であった。

■Paid事業は大幅増収で黒字転換

 Paid事業については、加盟企業の増加とともに、徐々に「Paid」の知名度が向上し、大手企業の加盟企業の獲得も増加した。これにより、加盟企業数は1,700社を超え、取扱高(グループ内の取扱高69億39百万円を含む)は134億04百万円(前年同期比27.7%増)となった。その結果、Paid事業の売上高は3億52百万円(前年同期比30.9%増)、セグメント利益は20百万円(前年同期△16百万円)と大幅増収により黒字転換となった。

■売掛債権保証事業は2ケタ増収大幅増益

 売掛債権保証事業は、順調に保証残高が積み上がっている事業用家賃保証サービスで、利用者の獲得増加を図るため、保証内容を従来よりも手厚く使いやすいものにサービス内容を一部改訂した。この結果、保証残高(連結グループ内の保証残高12億24百万円を含む)は91億23百万円(前期末比41.0%増)となり、売掛債権保証事業の売上高は6億66百万円(前年同期比17.3%増)、セグメント利益は1億11百万円(同50.7%増)となった。

 以上の様に前期に様々な取組を行ったことが奏功し、増収増益となった。今期については、成長分野と位置づけているPaid事業と越境EC「SD export」に対し、広告宣伝費やシステム開発費等を集中的に投下する方針。

 事業拡大のための先行投資を行うことで、利益面での成長性が一時的に低くなるが、今期も最高益更新を見込むことから、事業計画は順調に推移しているといえる。

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