【村山貢司の気象&経済歳時記】花火とゲリラ豪雨

 7月30日に立川の花火大会の予報を担当した。このイベントの予報を担当するきっかけになったのは、2013年7月27日の花火大会が突然の豪雨で中止になったことである。この日は都心の隅田川の花火大会も豪雨で中止になっており、ともに大きな混乱になった。

 当日は大気の状態が不安定で雷雲の発生が予想されていたが、現在の予報技術ではどこに発生するかの予想は難しいのが現状である。当日の夕方は弱い雨の予想であり、花火を決行したのもやむを得ない面もあるが、レーダー等で雨雲の監視をしていればもっと早く中止の決定ができたはずである。同じ年の8月に開催された諏訪湖の花火も1時間に75ミリ、最大瞬間風速27mという嵐になり、交通機関も停止したために大混乱になった。

 立川の花火大会実行委員会では2013年の教訓をもとに、翌年から筆者に気象予報を依頼するようになった。実行委員会に直属する形で、1週間前から気象予報を提供し、当日は朝6時から終了まで当日の予測と雷の監視を行っている。その日の状況によって、開催の是非、雷雲の動向などを実行委員会に報告し、花火大会が円滑に進むようにアドバイスをしている。他の花火大会でも気象庁の予報を参考にしているだろうが、一番のポイントは東京地方の予報ではなく、現地のポイント予報を提供し、終了まで雷雲の監視を行っていることであろう。

 雷雲はダウンバーストと呼ばれる強風を伴うことが多く、上空を通過すれば花火の打ち上げは困難になる。花火に限らず夏のイベントでは、経験豊富な気象予報士から適切なアドバイスを受けることを勧めたい。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■ガソリン・軽油の暫定税率廃止法成立  ガソリン暫定税率廃止法は11月28日に成立し、ガソリン税2…
  2. ■うつ・統合失調症・発達障害を脳から理解する、最前線研究を平易にまとめた一冊  翔泳社は11月25…
  3. 【新築マンションの短期売買を分析】  国土交通省は11月25日、三大都市圏および地方四市の新築マン…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■「大きく産んで小さく育てる」IPO市場、期待裏切る後半戦  48勝2分10敗である。2025年の…
  2. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  3. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  4. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  5. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  6. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る