【鈴木雅光の投信Now】テーマ型ファンドは買わない方が良いと言われるけれど・・・

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鈴木雅光の投信Now 本来、テーマ型の投資信託は買わない方が良いと言われています。理由は大体、次の3点でしょう。

(1) テーマに沿った銘柄にしか投資できず、ファンドマネジャーにとって運用の自由度が制限される。
(2) テーマが短期間で陳腐化し、運用成績が大きく落ち込む傾向が見られる。
(3) 結果、設定から短期間で解約が相次ぎ、繰上償還されるリスクが高い。

 ITやバイオ、環境関連など、これまでさまざまなテーマ型のファンドが新規設定されましたが、この手のテーマは株式市場で一時的に盛り上がりを見せるものの、あっという間に材料出尽くしになり、株価の急落と共にファンドの運用成績も悪化して解約が相次ぎ、短命のうちに消えていくというパターンを繰り返してきました。

 したがって、テーマ型ファンドは、短期的なリターンを追求するためのあだ花的な存在でしかないと認識していたのですが、実はテーマ型ファンドの中でも長期間存在し続けているものは、意外とパフォーマンスが良い傾向があります。

 モーニングスターのデータで、過去10年間のリターンを年率に直してランキングしたものがあります。2016年7月末時点のものを見ると、上位20ファンドのうち9ファンドが、テーマ型ファンドで占められています。そのテーマも「インターネット」、「ゲノム」、「バイオ」、「ヘルスケア」など、ひと頃、株式市場で大いに話題になったものばかりです。

 ちなみにランキング3位に入っている「netWINゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンドAコース」の設定日は1999年11月29日ですから、まさにITバブルが崩壊する前夜のことです。過去の基準価額を見ると、設定直後から一気に基準価額が暴騰。しかし、2000年に入ってすぐに起こったITバブルの崩壊で、基準価額はピーク時の7分の1程度まで急落しています。そこから長い年月を掛けて徐々に基準価額は回復し、過去10年間の騰落率は年率9.60%という高実績を上げています。

 また、テーマではありませんが、特定の国・地域に投資するファンドも過去10年で高い運用実績を上げています。「(オーロラファンド)タイ投資ファンド」は、年率10.39%で、同ランキングのトップです。

 確かに、テーマ型ファンドには前出のような問題点はあるのですが、恐らく長期的に成長するであろうと思われるテーマを設定されたファンドで、かつ繰上償還されずに運用が長期にわたって継続されれば、高いリターンを得られる可能性があるということなのだと思います。確かにインターネットも、あるいはゲノムやバイオ、ヘルスケアも、株式市場では一時的な話題で終わりましたが、今もさまざまな研究がなされ、新製品・サービスが次々に開発・市場投入されている、息の長い分野です。投資信託を購入する受益者が、マーケットの短期的な下ブレに惑わされずに保有し続けられれば、今までの長期的な低迷局面を吹き飛ばすほどの高いリターンが、長期的に保有する過程のどこかで得られるチャンスもあるのです。

 その意味では、テーマ型ファンドも選び方次第では長期的に高いリターンが得られる可能性があると考えられそうです。

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