【株式市場特集】逆日歩300銘柄超が浮上、師走相場で「掉尾の一振」候補が台頭

■売り方手仕舞いで需給改善が後押し

 師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用好需給株が投資家のアタック対象として浮上している。全市場で300銘柄を超える株不足銘柄の多くは、売り方の年内手仕舞いに伴う買い戻しが期待され、需給改善による上昇余地が意識される。とりわけ信用需給が大取組ランキング上位の銘柄や、投資採算的にバリュー株素地を持つ銘柄、さらに季節要因でシーズンストック人気が高まる銘柄が主役候補となり、「掉尾の一振」を狙う有力株として注目度が高まっている。

■売り残100万株超の主力株にはシーズンストック人気も後押し

 信用好需給株でまず浮上するのは、売り残が100万株を超え大取り組みとなっている主力銘柄である。目下、この先駆株と目されているのがイオン<8267>(東証プライム)である。同社株は、今年10月14日に発表した今2月期中間業績が過去最高となったことに反応して31%高しこの過程で信用売り残が477万株超に積み上がり、その後株価は4割安と調整し、信用売り残の392万株に減少したが、「ブラックフライデー」期待で株価が2920円と再急騰するなか信用売り残は439万株超と積み上がり、信用倍率は0.34倍で逆日歩付きである。「ブラックフライデー」に次いで「ボーナス商戦」、「クリスマス・セール」、「年末年始商戦」と恒例の小売りイベントが続くだけにシーズストック株人気が、上値トライを後押しするか注目される。

 またともにMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)スタンダードインデックス銘柄の定期見直しで構成銘柄から除外されたヤクルト本社<2267>(東証プライム)と日清食品ホールディングス<2897>(東証プライム)は株価下落とともに信用売り残がそれぞれ130万株超、193万株超と積み上がって信用倍率が0.69倍、0.70倍と株不足になっている。アスクル<2678>(東証プライム)も、ランサムウエア感染によるシステム障害発表で株価が急落、信用売り残は一時、172万株超、倍率も0.24倍となった。悪材料織り込み済みとしてリバウンドし売り方の買い戻しが続くか下値で攻防が続きそうだ。

■ランキング上位銘柄や売り残増加率の高い銘柄にもアタックチャンス

 信用売り残ランキングの上位にランクインし逆日歩のつく銘柄も、有力候補となる。イオンはランキング第2位だが、第3位のすかいらーくホールディングス<3197>(東証プライム)以下、サーラコーポレーション<2734>(東証プライム)、ロイヤルホールディングス<8179>(東証プライム)、ネクステージ<3186>(東証プライム)、千趣会<8165>(東証スタンダード)、ZOZO<3092>(東証プライム)、ホットランドホールディングス<3196>(東証プライム)などが該当銘柄になる。いずれも消費関連株でこの年末年始が書き入れ時でこの商戦動向も株価変動要因となる。このなかでホットランドは、この12月に「銀だこ」の値上げを予定している。

 信用売り残の水準そのものは高くないが、増加率ランキングの上位を占める銘柄のうち、投資採算的に割安な銘柄もリバウンド期待を高めそうだ。豊田合成<7282>(東証プライム)、サカタインクス<4633>(東証プライム)、ダイヘン<6622>(東証プライム)、ニッケ<3201>(東証プライム)、ファーストブラザーズ<3454>(東証スタンダード)が候補株で、PERは10倍~15倍と市場平均を下回る。このうち豊田合成、サカタインクス、ダイヘンは、メーンバンクや親会社の株式売出しが信用売り残増加要因となったが、この株式売出しもほぼ一巡する。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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