【宮田修 アナウンサー神主のため息】豊かな水に感謝

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宮田修 アナウンサー神主のため息 先月に続いてモンゴルのことです。4月21日(金)に無事帰国し、この原稿を書いています。例年のことですが、ウランバータルからの飛行機が成田空港に近づくとモンゴルと日本の景色の違いに驚くのです。日本は“緑”いっぱいです。まさにグリーンランドです。緑の中に太陽の光を受けてきらきら輝いている水面があります。田んぼです。田植えが終わっているかどうかまでは上空からは確認できませんが、春の農作業が始まっていることはわかります。我が国は水と緑に恵まれています。有難いことだなと改めて感じるのです。

 5時間ほど前までモンゴルの首都ウランバートルにいました。この時期のウランバートルは、まだまだ寒く朝の最低気温は氷点下です。それでも大陸性の気候ですので日中は気温が上がりセーター一枚で過ごせます。日本と大きく違うのは雨が少ないということです。

 今年私は、4月5日から21日まで17日間モンゴルに滞在し、子どもたちと楽しく勉強をしてきました。モンゴルの人は、日本に対して好意的な人が多く、子どもたちに日本のことを話してあげると彼らは強い関心を示してくれます。日本の雨の話をしました。この時期日本では3日に1日ぐらいは雨が降りますと話すと実に不思議そうな顔をします。モンゴルでは雨が降らないのです。17日間の滞在中雨が降ったのは1回だけでした。雪まじりの雨でした。

 子どもたちに雨が降ったらどうしますかと質問をしました。何と嬉しくなって外に出て雨に濡れるという子が殆どでした。30人中実に27人がそうすると手を挙げました。傘を持っている人は手を挙げてと言うとぱらぱらしか挙がりません。そうなのです。モンゴルでは傘はほとんど必要ないのです。そういえば私も旅行の荷物の中に傘を入れたことはありません。傘を差して街を歩く人を見かけることはまずないのです。モンゴルで雨が降ると皆喜ぶのは、草原の草の芽生えを促すからです。遊牧民の彼らにとって家畜のエサになる草が順調に育つのは大変重要なことなのです。喜ぶはずです。雨の日は彼らにとって「良い天気の日」なのです。

 モンゴルに比べて我が国は実によく雨が降ります。時々振り過ぎて被害が出ることもありますが、日本人は水に困ることはまずありません。豊かな水と太陽の恵みを得て植物が見事に成長します。国土全体が緑に覆われています。誠に有難いことです。

 神主らしいことを少し言います。江戸時代の神道家に若林強斎(わかばやしきょうさい)という人がいます。この人の『神道大意』と言う本に神道とは、つまり日本人とは、「水の中にも火にも木にも草にもすべてのものに神さまがいらっしゃるので大事に思うのだ」と書かれています。人間は、自分の周りにたくさんある物はついつい粗末にしてしまうものです。豊富にあるのだから大事にしなくても良いのではないかと考えがちです。しかし強斎さんはすべてのものに神さまを感じて崇めて奉るのが日本人だと言っているのです。

 ここでまた私は自分の胸に手を当てて考えてしまうのです。私は果たして強斎さんの言う日本人であろうかと考えるのです。水の少ない国で少しの間を過ごしてきてそんな心境になりました。(宮田修=元NHKアナウンサー、現在は千葉県長南町の宮司)

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