【どう見るこの相場】日銀会合が試金石、円高・ドル安反転シナリオを前提に売られ過ぎ是正が期待される紙・パ株に注目
- 2025/12/15 08:43
- どう見るこの相場

■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感
FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)は、スンナリと無事イベントを通過したとされている。3会合連続の政策金利引き下げが決定された翌11日にダウ工業株30種平均(NYダウ)とS&P500種株価指数が、ともに最高値を更新したからだ。ただし少々難ありではあった。金利引き下げで低下するはずの長期金利が高止まりし、ドル安・円高に進むはずの為替相場が、円安・ドル高のまま推移したからだ。
これはFOMCを控えて事前にFRBをタカ派的ハト派とした懸念が尾を引いていたのかもしれない。タカ派的ハト派とは、12月会合ではハト派的に利下げを決定するものの、来年2026年の利下げ回数についてはタカ派的に1回、2回程度にとどまるとする慎重な見方を論拠としていた。案の上、翌日の前週末12日に長期金利が上昇してNYダウは、245ドル安と反落した。しかもオラクルが、データーセンター投資の積み増しで債務不安を強めてショック安し、半導体株のブロードコムが、好決算を発表したものの市場予想を下回るとしてショック安するなどイレギュラー相場付きである。
■日銀会合控え市場は分岐点、タカ派的ハト派が焦点
となると次に問題となるのが、今週18日~18日に開催される日本銀行の金融政策決定会合となる。FOMCのように大筋で無事イベント通過となるかどうかである。というのもここで決定される金融政策は、タカ派的ハト派とする事前予想があったからだ。これは12月会合ではタカ派的にほぼ間違いなく11カ月ぶりに利下げを決定するが、来年2026年については金融正常化策に一定の歯止めが働くとする見方である。「物価の番人」たる日銀は、物価上昇を抑えるべく、輸入物価上昇要因となっている円安・ドル高を阻止するため政策金利の引き上げを迫られるが、2026年については「責任ある積極財政」を強調して止まない高市早苗内閣とハト派的にバランスを取り正常化策がスピードダウンするかもしれないとする懸念である。
前週末12日の東証プライム市場では、日経平均株価が、米国市場にツレ高して687円高と3日ぶりに急反発するなか、全銘柄の約86%が上昇し、円高メリット株も円安メリット株も金利敏感株も金利上昇デメリット株も無差別に買い進まれたが、日銀の金融政策決定会合を前にイベントを無事通過するかどうかで銘柄の絞り込みが進むかもしれない。師走相場も残り半月、投資家は「掉尾の一振」か「掉尾の三振」か難しい銘柄選択を迫られることになる。
■円高・ドル安と金利強含みを背景に、売られ過ぎ是正の動き
そこで今週の当コラムは、日銀の金融政策決定会合が、FOMCと同様に無事イベント通過となり、為替相場が、円高・ドル安に反転し長期金利も強含みとなることを前提に円高メリット株に注目することにした。というのも円高メリット株のシンボル株のニトリホールディングス<9843>(東証プライム)が、前週末12日に今年9月末を基準日にした株式分割の権利落ち後高値を更新したからである。ニトリHDは、これまで為替相場が円高・ドル安に振れるたびに動意付いたが、この高株価は3日と続かなかったが、今度こそ本物となる前提である。
円高メリット株は、電気・ガスの公益株、ニトリHDに代表させるSPA(製造小売り)株、100円ショップ株など数多いが、そのなかでも最出遅れの紙・パ株に師走相場での有終チャンスを期待したい。紙・パ株は、IT(情報技術)化が逆風となって紙需要が減少し市況悪が続き、構造改革費用も重なって業績も低迷、株価人気も後退に次ぐ後退となった。それだけに業績実態面からも売られ過ぎを示唆しており、また老舗名門企業揃いだけに政策保有株縮減による有価証券売却益や有休資産売却による固定資産売却益の計上なども相次ぐ。周辺関連株の紙卸株、製紙薬品株、製紙機械・用具株とともにリバウンド展開も想定される。「掉尾の一振」の候補銘柄の一角に名乗りを上げそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)






















