【アナリスト水田雅展の銘柄分析】インタースペースはモミ合い煮詰まり感、中期成長力を評価して反発局面

銘柄分析

 ネット広告やソーシャルアプリを展開するインタースペース<2122>(東マ)の株価は、14年11月戻り高値1355円から反落して1000円~1100円近辺でモミ合う展開だが、1000円台を割り込むことなく煮詰まり感も強めている。今期(15年9月期)の減益見通しは織り込んだ形であり、中期成長力を評価して反発局面が期待される。なお2月10日に第1四半期(10月~12月)の業績発表を予定している。

 アフィリエイト(成果報酬)型のインターネット広告事業を主力として、コンテンツやソーシャルアプリなどのメディア運営事業も展開している。

 インターネット広告事業はアフィリエイトサービス「アクセストレード」を中心に事業展開し、携帯電話ショップをネットワーク化した店舗アフィリエイトサービス「ストアフロントアフィリエイト」も日本最大規模の店舗ネットワークに成長している。

 メディア運営事業では、日本最大級のママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」月間利用者数が200万人を突破し、ソーシャルアプリは女性向け恋愛ゲーム「愛しのショコラティエ」や「プリンセス・クローゼット」などを主力としている。

 中期目標数値として売上高250億円、営業利益15億円を目指し、重点戦略としてインターネット広告事業では国内アフィリエイトシェアの獲得と収益性向上、メディア運営事業では新規メディア立上げと収益化、海外事業では各国のメディアネットワーク確保などを推進する方針を掲げている。

 アライアンス戦略を積極推進し、13年10月モバイル広告ネットワーク事業の米アーキと戦略的業務提携、11月O2Oマーケティングソリューション事業のモギーと資本業務提携、12月中国・上海の子会社ISUCが中国最大のアフィリエイトネットワーク「億起発(イーチーファー)」を提供するEMAR(イーマー)と業務提携した。

 また14年5月クーポン情報メディア「クーポンランド」運営のサイファに出資、7月クラウドソーシングサービス「ランサーズ」運営のランサーズと業務提携、8月スマートフォンアプリ向け動画広告配信ネットワーク「AppVador」運営のアップベイダーと資本提携、11月インドネシア大手ポータルサイト「detik.com」と業務提携、12月子会社のmore gamesがサイバーエージェント<4751>とネイティブアプリ版恋愛ゲームで事業提携した。

 12月25日には、ベトナム最大級のモバイル広告ネットワークを提供するMWORK社の第三者割当増資を引き受けて資本業務提携すると発表した。合弁会社も設立してベトナム市場での事業展開を推進し、ベトナム最大のアフィリエイトネットワーク構築を目指すとしている。

 今期(15年9月期)の連結業績見通し(11月11日公表)は、売上高が前期比13.2%増の190億円、営業利益が同15.5%減の6億60百万円、経常利益が同17.2%減の6億54百万円、純利益が同26.3%減の2億84百万円、そして配当予想が前期と同額の年間8円(期末一括)としている。

 セグメント別の計画を見ると、インターネット広告事業はスマートフォン広告が増加基調で同11.8%増収だが、既存のアフィリエイトサービスのカテゴリー強化や新サービス開発に向けた人材投資などで同4.3%営業減益としている。メディア運営事業はママ向けコミュニティサイト「ママスタジアム」など収益性の高い自社メディアを強化して同29.5%増収で、営業赤字も縮小する計画だ。海外事業は東南アジアNO.1アフィリエイトサービスに向けた先行投資で営業赤字幅がやや拡大するとしている。

 今期は先行投資負担などで減益見通しだが、来期(16年9月期)以降は先行投資の効果発現や海外事業の本格化などで収益拡大が期待される。

 株価の動きを見ると、14年11月の戻り高値1355円から反落後は概ね1000円~1100円近辺のレンジでモミ合う展開だ。ただし1000円台を割り込むことなくモミ合い煮詰まり感も強めている。今期の減益見通しは織り込んだ形だろう。

 1月26日の終値1031円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS41円96銭で算出)は24~25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS406円20銭で算出)は2.5倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえているが、1000円近辺が支持線となって下値も限定的だ。今期の減益見通しは織り込んだ形であり、中期成長力を評価して反発局面が期待される。

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