【アナリスト水田雅展の銘柄分析】巴工業は低PBRも評価材料で調整の最終局面、今期の営業損益改善を見直し

銘柄分析

 化学機械メーカーの巴工業<6309>(東1)の株価は、安値圏1700円近辺でモミ合う展開だ。1月28日には直近安値となる1660円まで下押す場面があった。ただし0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、調整の最終局面だろう。今期(15年10月期)の営業損益改善を見直す動きが強まりそうだ。

 遠心分離機械を中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を2本柱としている。中国ではコンパウンド加工事業も展開している。

 13年11月には、中国の連結子会社・星科工程塑料に対するテクノポリマーおよび日本カラリングの出資持分をすべて譲り受けた。両社との資本・業務提携を解消し、当社主導で収益立て直しを進めている。

 今期(15年10月期)の連結業績見通し(12月11日公表)は売上高が前期比4.9%増の427億円、営業利益が同43.7%増の18億30百万円、経常利益が同13.5%増の18億50百万円、純利益が同4.3%増の11億50百万円、配当予想が前期と同額の年間45円(第2四半期末22円50銭、期末22円50銭)としている。注文キャンセルによる棚卸資産評価損計上などで前期低調だった機械製造販売事業の営業損益が回復する。

 機械製造販売事業は売上高が同8.5%増の110億70百万円、営業利益が同4.1倍の6億50百万円の計画だ。国内では遠心分離機械の大型案件が減少するが、北南米地域での拡販を見込んでいる。化学工業製品販売事業は売上高が同3.7%増の316億30百万円、営業利益が同5.8%増の11億80百万円の計画だ。新規市場・商材開拓による海外売上の拡大や、中国コンパウンド事業の収益回復を見込んでいる。

 13年12月に策定した中期経営計画「Target2016」では、経営目標値として16年10月期売上高475億円、営業利益25億80百万円、経常利益26億円、純利益16億円、ROE6.3%、ROA4.4%を掲げている。重点戦略としては、北米市場、南米市場、東南アジア市場を中心とする海外売上高の拡大に加えて、機械事業ではエネルギー分野への参入、化学品事業では二次電池やパワー半導体向け商材の開拓に取り組む方針だ。

 株主優待制度については、13年は4月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施したが、14年からは毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対してワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈している。

 株価の動きを見ると、12月24日に1770円まで上伸する場面があったが、買いが続かず安値圏1700円近辺でモミ合う展開だ。1月28日には直近安値となる1660円まで下押す場面があった。調整局面のようだ。

 1月28日の終値1678円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS115円25銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は2.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2399円53銭で算出)は0.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となり、52週移動平均線を割り込んだ。ただし0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、13年秋~14年夏のボックスレンジに回帰して調整の最終局面だろう。今期の営業損益改善を見直す動きが強まりそうだ。

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