【アナリスト水田雅展の銘柄分析】JFEシステムズは今期好業績見通しを評価して07年1月高値試す

銘柄分析

 システム開発のJFEシステムズ<4832>(東2)の株価は、1月8日高値1400円から上げ一服の形だが、27日に発表した第3四半期累計(4~12月)の大幅増益を好感して切り返しの動きを強め、28日には1389円まで上伸する場面があった。今期(15年3月期)好業績見通しを評価して07年1月高値1480円を試す展開だろう。

 川崎製鉄(現JFEスチール)のシステム部門を分離した情報サービス企業で、鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向けSI(システム・インテグレーション)事業、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も展開している。

 戦略的アライアンス戦略では、13年5月に大阪ガス<9532>子会社オージス総研と協業、ビジネスブレイン太田昭和<9658>と資本・業務提携した。

 中期成長戦略として、鉄鋼事業でのJFEスチールと連携した製鉄所システム統合・共通化推進、JFEスチールの海外展開へのIT支援、ERPを核とした製造流通向け複合ソリューションの強化、自社プロダクト・ソリューション事業の強化(帳簿データ保存ソリューション、電子帳票システム「FiBridgeⅡ」のタブレット対応、MQネットによる原料規格書サービスなど)を掲げている。

 重点戦略の鉄鋼事業「JFEスチールIT施策の推進」では、JFEグループの海外展開を支援すべく、前期にタイCGL(溶融亜鉛めっきライン)工場向けで開発した海外製造拠点向け標準システムを、インドネシアCGL工場へ導入中だ。

 1月27日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比3.9%増の251億40百万円、営業利益が同10.8倍の9億22百万円、経常利益が同10.0倍の9億13百万円、純利益が同26.2倍の5億24百万円だった。

 製造流通向け複合ソリューションの拡大、JFEスチールのIT投資回復に加えて、高収益案件や販管費抑制なども寄与して営業損益が大幅に改善した。売上総利益率は18.2%で同2.5ポイント上昇した。売上高販管費比率は14.5%で同0.8ポイント低下した。

 なお今期の営業利益を四半期別に見ると、第1四半期(4~6月)の83百万円の赤字に対して、第2四半期(7~9月)は5億28百万円の黒字、第3四半期(10~12月)は3億94百万円の黒字となった。

 通期の連結業績見通しは前回予想(4月24日公表)を据え置いて、売上高が前期比2.5%増の360億円、営業利益が同37.8%増の15億20百万円、経常利益が同35.6%増の15億20百万円、純利益が同53.8%増の8億60百万円、配当予想が同6円増配の年間28円(期末一括)としている。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が69.8%、営業利益が60.7%、経常利益が60.1%、純利益が60.9%である。第4四半期(1~3月)の構成比が高い収益構造を考慮すれば、概ね順調な水準だろう。鉄鋼向け大型案件、製造流通向け複合ソリューション拡大、自社プロダクト拡販などが寄与して好業績が期待され、通期増額の可能性があるだろう。

 なお1月5日には、IRサイト構築に関して当社のWebサイトが、大和インベスター・リレーションズ2014年インターネットIR表彰「優良賞」、および日興アイ・アール2014年度全上場企業ホームページ充実度ランキング「最優秀賞サイト」の2賞を受賞したと発表している。

 株価の動きを見ると、1月8日に付けた高値1400円から上げ一服の形となり、1月26日に1251円まで調整したが、第3四半期累計の大幅増益を好感して切り返しの動きを強めている。28日は1389円まで上伸する場面があった。

 1月29日の終値1330円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS109円51銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は2.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1226円53銭で算出)は1.1倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。今期大幅増益見通しを評価して07年1月高値1480円を試す展開だろう。3月期末一括で2%近辺の配当利回りも評価材料だ。

>>JFEシステムズのMedia-IR企業情報

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