【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ソーバルは着実に下値を切り上げて戻り歩調、今期業績増額の可能性を評価して14年9月高値試す

銘柄分析

 エンジニアリング事業のソーバル<2186>(JQS)の株価は、14年10月安値821円をボトムとして着実に下値を切り上げ、足元は900円台前半で推移して戻り歩調の展開だ。今期(15年2月期)業績見通し増額の可能性が高く、2%台後半の配当利回りも評価して14年9月高値1049円を試す展開だろう。

 エンジニアリング事業(組み込みソフトの開発、ウェブ/スマホアプリの開発、ハードウェアの設計・開発など)、その他事業(RFID製品の開発・製造など)を展開している。

 前期(14年2月期)の顧客別売上構成比はキヤノン<7751>グループ66.0%、ソニー<6758>グループ9.5%、富士通<6702>グループ8.6%、NTT<9432>グループ3.9%、その他12.0%で、優良な大口顧客を抱えていることが特徴だ。

 12年9月にオムロン<6645>向けが主力のモバイルコンピューティングテクノロジーズ(現MCTEC)を子会社化するなど、M&Aも活用して顧客や分野の多様化を進めている。

 今期(15年2月期)の連結業績見通し(4月10日公表)は、売上高が前期比1.1%増の67億円、営業利益が同4.2%増の5億40百万円、経常利益が同5.9%増の5億47百万円、純利益が同5.9%増の3億20百万円、配当予想が配当性向35%を目標として同5円増配の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 主力のエンジニアリング事業では、主要顧客の研究開発関連プロジェクトの受注が高水準であり、新規顧客開拓も寄与する。プロジェクトマネージャーの育成や若手エンジニアへの教育も含めた技術力の底上げ、本社移転によるノウハウ共有の徹底などの効果も寄与する。その他事業のRFIDでは電波法改正に伴うソフトバンク<9984>関連の機器置き換え需要が寄与する。本社移転費用計上などを吸収して増収増益見通しだ。

 第3四半期累計(3月~11月)はエンジニアリング事業、その他事業とも好調に推移して前年同期比6.2%増収、同3.6%営業増益、同4.1%経常増益、同3.9%最終増益だった。そして通期見通しに対する進捗率は売上高78.0%、営業利益82.2%、経常利益82.1%、純利益80.3%と高水準だった。通期業績見通しは増額の可能性が高いだろう。

 製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対するニーズが一段と高まっている。中期的に収益拡大基調だろう。

 なお14年12月に東京証券取引所の自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって15万1900株の自己株式買付を行い、自己株式15万2200株を消却した。消却後の発行済株式総数は419万8400株、消却後の自己株式数は3株である。

 株価の動きを見ると、14年9月高値1049円から急反落したが、その後は10月安値821円、11月安値835円、12月安値886円、15年1月安値913円と着実に下値を切り上げ、足元は900円台前半で推移している。やや小動きだが今期好業績見通しを評価して戻り歩調の展開だ。

 2月2日の終値928円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS73円57銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は2.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS559円59銭で算出)は1.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。今期業績見通し増額の可能性が高く、2%台後半の配当利回りも評価して14年9月高値1049円を試す展開だろう。

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