【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ジェイテックは調整一巡感、営業損益改善基調を評価して1月の戻り高値目指す

銘柄分析

 技術職知財リース事業のジェイテック<2479>(JQS)は2月2日に第3四半期累計(4月~12月)業績を発表した。大幅減益だったが四半期別に見ると営業損益は改善基調だ。株価は1月5日戻り高値から反落したが、第3四半期累計業績に対するネガティブ反応は限定的であり、調整一巡感を強めている。今期(15年3月期)業績の下振れ懸念は織り込み済みの可能性があり、営業損益改善基調を評価して1月戻り高値を目指す展開だろう。

 製造業の開発・設計部門向けに技術者を派遣する技術職知財リース事業(特定派遣事業および請負事業)を主力として、子会社ジオトレーディングは製造業向け一般派遣・エンジニア派遣事業を展開している。12年10月にエル・ジェイ・エンジニアリング(旧トステム・エンジニアリング・オフィス)を子会社化して建築設計分野にも事業領域を広げた。

 専門教育による知識を基盤として新たな付加価値を顧客に提供する社員を「テクノロジスト」と呼称し、一般的な「エンジニア」と区別していることが特徴だ。そして「技術商社」を標榜し、当社のテクノロジストが保有する知恵を提供(リース)することで、顧客とともに新たな価値を創造する「技術職知財リース事業」としている。

 技術職知財リース事業では、機械設計開発、電気・電子設計開発、ソフトウェア開発の3分野に加えて、建築設計分野を第4の柱として育成している。顧客は自動車関連、産業用機器関連、電子・電気機器関連、精密機器関連、情報通信機器関連、情報処理関連、建築関連など多岐にわたり、特定の業界・企業への依存度を低くして業種別・顧客別売上構成比のバランスを維持していることも特徴だ。

 2月2日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は売上高が前年同期比1.7%減の24億91百万円、営業利益が同81.6%減の10百万円、経常利益が同83.3%減の9百万円、純利益が同94.1%減の2百万円だった。

 前年に実施した契約単価見直しに伴う稼働率悪化、グループ3社の従業員の待遇改善実施が影響して減収減益だった。セグメント別売上高は、技術職知財リース事業が同1.9%減の24億08百万円、一般派遣・エンジニア派遣事業が同3.6%増の82百万円だった。

 ただし四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)が8億27百万円、第2四半期(7月~9月)が8億18百万円、第3四半期(10月~12月)が8億46百万円と堅調に推移した。そして営業利益は第1四半期が45百万円の赤字だったのに対して、第2四半期が18百万円の黒字、第3四半期が37百万円の黒字と改善基調だ。第3四半期は契約単価上昇や高稼働率が寄与した。

 通期の連結業績見通しは前回予想(5月7日公表)を据え置いて売上高が前期比7.8%増の36億70百万円、営業利益が同15.2%増の1億10百万円、経常利益が同15.9%増の1億10百万円、純利益が同22.9%増の80百万円、配当予想が前期と同額の年間1円(期末一括)としている。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率が低水準のため通期下振れの可能性もあるが、期前半は新卒テクノロジストの研修期間中の人件費や教育・研修費用が先行するため利益が出にくい収益構造であることに加えて、期後半に向けて契約単価上昇や高稼働率の効果が顕著であり、新卒テクノロジストの戦力化も寄与して、営業損益は第4四半期(1月~3月)も改善基調だろう。

 中期経営計画では、今後数年間を人材採用・教育など基盤強化の期間と位置付け、経営目標値として17年3月期売上高41億23百万円、営業利益1億76百万円、経常利益1億76百万円、純利益1億20百万円を掲げている。主要取引先の大手製造業では新製品開発など高水準の研究開発投資を継続しているため、自動車関連、産業機器関連、精密機器関連などを中心に、技術開発や製品設計に対応可能なスキルを持つ技術者に対して派遣需要が一段と高まっている。中期的に収益拡大が期待される。

 株価の動きを見ると、急伸した1月5日の戻り高値258円から反落して調整局面だ。1月16日に201円、そして2月3日には199円まで調整する場面があった。ただし急伸前の安値圏180円~190円近辺まで下押す動きは見られない。第3四半期累計の減収減益に対するネガティブ反応は限定的であり、調整一巡感を強めている。今期業績見通しの下振れ懸念は織り込み済みの可能性があるだろう。

 2月3日の終値200円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS9円44銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は0.5%近辺、前期実績PBR(前期実績連結BPS62円93銭で算出)は3.2倍近辺である。

 週足チャートで見ると1月の戻り高値で上ヒゲを付けたが、下値は13週移動平均線と26週移動平均線が支えている。営業損益改善基調を評価して1月の戻り高値258円を目指す展開だろう。

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