【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】世界の平均寿命この35年で10年延長、健康寿命延長が課題

ドクター箱崎幸也 健康増進実践法

 「高齢者定義の見直し(65歳から75歳へ)」を取り上げていますが、世界的に権威ある英国医学雑誌ランセットの最新版(Lancet 2016:388;1459-1544)でも、2015年時点の世界人口の平均寿命は71.8歳で、1980年の61.7歳から10年以上延びたことが報告されました。男女別の平均寿命は、1980年男性59.6歳/女性63.7歳から2015年には69.0歳と74.8歳に延長されています。

 男女とも世界第1位はアンドラ公国(81.2歳、88.4歳)、日本は男性が8位(79.9歳)、女性は2位(86.4歳)でした。2015年での死因の70%は、非感染性疾患(虚血性心疾患や脳卒中、糖尿病、慢性腎臓病、認知症、アルコールを含む薬物使用障害など)が原因でした。この延長の主な要因として、最近10年間で世界ではHIV/エイズ、マラリアや下痢性疾患などの感染性疾患による死亡率低下が考えられています。

 しかし、健康寿命(心身共に自立し、健康的に生活できる期間)は、2015年時点で世界では男性60.9歳/女性64.9歳で2005年時と比べ2.9年、3.5年延びただけでした。日本での健康寿命は男性71.54歳/女性76.28歳でした。平均寿命と健康寿命の差は大きく、男性は約8年、女性で10年間も健康上の問題を抱えながら生活しなければなりません。

 2015年の世界での死因トップ10は、虚血性心疾患、脳卒中、肺炎、早産、下痢性疾患、新生児脳症、エイズ、交通事故、マラリア、慢性閉塞性肺疾患の順でした。誰しも健康寿命と平均寿命を近づけたいと願っていますので、日本では自己管理可能な虚血性心疾患、脳卒中、肺炎、慢性閉塞性肺疾患を予防できればその差は短くなります。虚血性心疾患/脳卒中は血圧やコレステロール値の管理、肺炎は日頃からの手洗い・うがいと共に肺炎球菌ワクチンの積極的な接種、慢性閉塞性肺疾患では禁煙が最も基本的な予防法です。さらに1日5000~8000歩の歩行を日々意識しながら行動すれば「平均寿命=健康寿命」が達成に近づきますので、今日からでも頑張ってください。

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