【株式評論家の視点】セルシードは食道再生上皮シートの展開に注目、中長期的な視点で押し目買い妙味膨らむ

株式評論家の視点

 セルシード<7776>(JQS)は、2001年の創業より一貫して、日本発・世界初の再生医療の基盤技術である「細胞シート」の事業化に向けて、様々な取り組みを行っている。14年に施行された「再生医療新法」をチャンスと捉え、「食道再生シート」と「軟骨再生シート」を最優先品目と定め、承認取得に向けた開発を行っている。15年には欧州における細胞シート再生医療製品の研究開発・マーケティング・販売を事業内容とした子会社セルシードスウェーデンABをスウェーデンに設立し、表在性食道癌の術後創傷治癒の促進を目的とした「食道再生上皮シート」の欧州全体での承認を目指して欧州医薬品庁(EMA)との事前相談に向けた事前相談を進めている。16年には、日本で「食道再生上皮シート」の治験を開始。同年に本社をテレコムセンタービルに移転し、同ビル内に細胞培養施設(CPC)を建設し、細胞シートの事業化に向けた地盤を固めている。

 12日に発表した今17年12月期第1四半期業績実績は、売上高1200万円(前年同期比69.7%増)、営業損益2億4000万円の赤字(同2億2800万円の赤字)、経常損益2億3200万円の赤字(同2億2800万円の赤字)、最終損益2億3300万円の赤字(同2億2800万円の赤字)に着地。

 今17年12月期業績予想は、売上高1億円(前期比横ばい)、営業損益12億5000万円の赤字(同14億1300万円の赤字)、経常損益12億3000万円の赤字(同14億1500万円の赤字)、最終損益12億3000万円の赤字(同14億1400万円の赤字)見込む。

 株価は、2月27日につけた年初来高値684円から4月13日に年初来安値512円まで調整。520円前後で下値を固めモミ合っている。第2四半期・通期業績予想は達成できる見通し。同社治験実施中の食道再生上皮シート(CLS2702C/D)は、2月に厚生労働省より再生医療等製品の「先駆け審査指定制度」の対象品目指定を受けたほか、3月には当社細胞培養センターが再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき、「特定細胞加工物製造許可」を取得。 また、海外展開においては、昨年12月から協議を進めていた台湾企業(MetaTech社)との細胞シート再生医療事業に関する台湾での独占的事業提携契約を締結決議と事業化は着実に近づいており、今後の展開は注目される。下値不安が少ない株価水準にあり、中長期的な視点で押し目買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

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