サンコーテクノは年初来高値更新、18年3月期1Qが2桁増益で通期は増収増益・3期連続増配予想

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 サンコーテクノ<3435>(東2)は建設用あと施工アンカーの最大手で、センサー関連商材の測定器も展開している。需要回復で18年3月期第1四半期は増収・2桁増益だった。通期は増収増益・3期連続増配予想である。20年東京五輪や国土強靭化政策など中期的に建設関連の事業環境は良好だろう。株価は年初来高値更新の展開だ。低PER・低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。

■ファスニング事業と機能材事業を展開

 ファスニング事業(あと施工アンカーやドリルビットの開発・製造・販売、太陽光関連・土木建築関連の工事管理など)と、機能材事業(電動油圧工具関連、FRPシート関連、車両の表示板などの電子プリント基板関連、各種測定器関連の製造・販売など)を展開している。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比はファスニング事業が77%、機能材事業が23%だった。売上高に対する新製品比率は14年3月期16.0%、15年3月期17.0%、16年3月期18.2%、17年3月期19.4%と上昇基調である。

 収益面では建設関連のため、期後半の構成比が高い特性がある。利益配分については、将来の事業展開・経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続していくことを基本方針としている。

■あと施工アンカーの最大手

 ファスニング事業では、あと施工アンカー(コンクリート用特殊ネジ・釘類)やドリルビットの開発・製造・販売、太陽光関連・土木建築関連の工事管理などを展開している。あと施工アンカーの最大手である。

 あと施工アンカー、アンカー打込機などは震災復興関連、都市再開発関連、耐震補強関連、老朽化インフラ補修・更新関連、20年東京夏季五輪関連、リニア新幹線関連など建設工事の増加が追い風となり、中期的に事業環境は良好だろう。

■センサー関連商材も強化

 センサー関連では14年11月ドコモ・システムズと業務提携し、15年3月自動車運送事業法の対象企業に向けたクラウド型点呼サービス「docoですcar Guardian」の提供を開始した。ドコモ・システムズが当社の呼気アルコール測定システムを利用したクラウド型サービスを提供する。

 15年2月には「燃料電池式業務用呼気アルコール測定器ST-3000」を発表した。これまでの接触燃焼式から燃料電池式にすることによりガス選択性の向上と測定時間の短縮を実現する。

■18年3月期1Qは増収・2桁増益

 8月9日発表した今期(18年3月期)第1四半期(4月~6月)の連結業績は、売上高が前年同期比6.8%増の34億92百万円、営業利益が19.1%増の1億21百万円、経常利益が28.3%増の1億21百万円、そして純利益が34.6%増の60百万円だった。

 主力のファスニング事業において各種設備工事の需要が回復傾向となり、金属系あと施工アンカーが好調に推移した。また耐震工事等の減少で低迷していた接着系あと施工アンカーの販売が底入れした。さらに停滞していた太陽光関連の工事が進捗したことも寄与して増収・2桁増益だった。売上総利益は2.4%増加したが、売上総利益率は30.9%で1.9ポイント低下した。販管費は0.6%増加したが、販管費比率は27.5%で1.7ポイント低下した。

 セグメント別に見ると、ファスニング事業は売上高が10.7%増の26億49百万円で営業利益(連結調整前)が24.4%増の2億80百万円、機能材事業は売上高が3.9%減の8億42百万円で営業利益が20.7%減の75百万円だった。機能材事業ではアルコール測定器および電子基板関連が好調だったが、電動油圧工具関連の国内販売が低調で、FRPシート関連も減少した。

■18年3月期通期は増収増益・3期連続増配予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比5.2%増の163億円、営業利益が6.7%増の12億円、経常利益が6.3%増の11億90百万円、純利益が1.1%増の8億円としている。営業強化などの施策で増収増益予想である。配当予想は2円増配の年間22円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は22.4%となる。

 セグメント別の計画は、ファスニング事業の売上高が5.3%増の124億93百万円で営業利益(連結調整前)が6.4%増の16億45百万円、機能材事業の売上高が4.6%増の38億06百万円で営業利益が6.8%増の4億74百万円としている。海外売上高は12.6%増の10億円を目標としている。

 第1四半期の進捗率は低水準の形だが、建設関連で期後半の構成比が高い特性があるためネガティブ要因とはならない。通期ベースでも好業績が期待される。

■中期ビジョンで売上高成長率5%以上を目指す

 新中期経営ビジョンでは「独自のファスニング(締結)システムで安全・安心を提供するモノづくり集団の追究」を掲げている。成長企業(優良企業)、ブランド力アップ、業務力アップ、チーム人財力アップを目指す方針だ。

 経営目標数値には売上高成長率5.0%以上、営業利益率8.0%以上、新製品売上高構成比30%、ROA8.0%以上を掲げている。

 建設現場では現場作業の省力化・機械化ニーズの高まりや非熟練作業者の増加が予想され、現場での使いやすさを高めた施工ツール、あと基礎アンカー、アンカー打込機、紫外線硬化FRPシートといった製品の需要増が期待される。20年東京五輪、都市再開発、国土強靭化政策などで中期的に事業環境は良好であり、新製品や高付加価値製品の拡販も寄与して収益拡大が期待される。

■株主優待制度は毎年3月末に実施

 株主優待制度は毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、QUOカード500円分を贈呈している。

■株価は年初来高値更新、低PER・低PBRも見直して上値試す

 株価は8月9日に1044円まで上伸した。年初来高値更新の展開だ。

 8月15日の終値972円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS98円30銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間22円で算出)は2.3%近辺、そして前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1302円42銭で算出)は0.7倍近辺である。時価総額は約85億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。そして13週移動平均線も上向きに転じて先高感を強めている。低PER・低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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