【アナリスト水田雅展の銘柄分析】アールシーコアは下値固め完了して出直り、4%台の高配当利回りも支援材料

銘柄分析

 ログハウス(丸太組み工法住宅)のアールシーコア<7837>(JQS)の株価は、10月22日の直近安値838円から切り返し、10月下旬以降は概ね950円近辺で推移して下値固め完了感を強めている。消費増税の影響は織り込み済みであり、4%台の高配当利回りも支援材料だ。下値固めが完了して出直り展開だろう。

 ログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売(国内直販部門と販社部門、および連結子会社のBP社)、カントリーログハウスなどキット部材の製造販売(北米部門)を展開し、東京・代官山「BESSスクエア」と神奈川県「BESS藤沢展示場」の直営展示場2拠点も運営している。ブランド知名度の深耕効果で全国BESS展示場への新規来場者数は増加基調である。

 なお11月13日、連結子会社でカントリーログハウスのキット部材を生産するカナダBFM社の株式をカナダAAA社に譲渡すると発表した。AAA社から同社株式譲渡の打診があり、将来にわたる事業成長と経営基盤の安定化の観点から、同社株式を譲渡してファブレス化を選択することで、経営資源を得意分野であるマーケティングや商品開発に集中させることとした。

 11月25日にはBESS事業において新製品「G-LOG(ジーログ)」の販売を開始したと発表している。木の家の頂点であるログハウスの強さ、自然に包まれる優しさを併せ持つ魅力を、新たな空間デザインで表現した新世代ログハウスと位置付けている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しについては、11月13日に純利益の増額修正を発表した。カナダBFM社の株式譲渡に伴って特別利益を計上する。売上高は前期比5.1%増の127億円、営業利益は同66.6%減の3億円、経常利益は同67.0%減の3億円、そして純利益は60百万円増額して同58.4%減の2億40百万円、配当予想は前回予想を据え置いて同2円増配の年間42円(第2四半期末20円、期末22円)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は、消費増税前駆け込み需要の反動減の影響が想定以上に長期化し、契約棟数は前年同期比35.6%減の364棟、契約高は同27.1%減の41億65百万円と低調だった。そしてロイヤルティ収入減少や工期長期化も影響して売上高は同2.1%増収にとどまった。利益は原価増加なども影響して売上総利益率が2.3ポイント低下し、同25.4%営業減益、同25.7%経常減益、同26.6%最終減益だった。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.9%、営業利益が112.3%、経常利益が113.0%、純利益が86.3%で、営業利益と経常利益は超過達成しているが、消費増税の影響が想定以上であり、予定していた戦略的費用の発生が下期にずれ込んだため、通期見通しを据え置いている。

 中期経営計画では、目標数値として17年3月期の契約棟数1900棟、売上高180億円、営業利益率8%、ROE18%を掲げ、重点戦略としてBESSブランドの深耕、営業拠点と営業員の拡充、展示場50拠点展開などを推進している。当面の収益は消費増税が影響するが、自然派志向の高まりを追い風として全国BESS展示場への新規来場者数は増加基調であり、受注回復に向けた施策の効果も期待される。

 株価の動きを見ると、急落して付けた10月22日の直近安値838円から切り返し、10月下旬以降は概ね950円近辺の小幅レンジで推移して下値固め完了感を強めている。消費増税の影響は織り込み済みであり調整のほぼ最終局面だろう。

 12月2日の終値962円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS55円21銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間42円で算出)は4.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS921円87銭で算出)は1.0倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、日足チャートで見ると25日移動平均線を突破した。4%台の高配当利回りも支援材料であり、下値固めが完了して出直り展開だろう。

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