インフォコムは調整一巡感、18年3月期は大幅増収増益・増配予想

日インタビュ新聞ロゴ

 インフォコム<4348>(JQ)はITサービスや電子コミック配信サービスを主力としてIoT領域の事業創出も積極推進している。18年3月期は増額修正して大幅増収増益、そして大幅増配予想である。株価は上場来高値圏から反落したが調整一巡感を強めている。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。

■ITサービス事業とネットビジネス事業を展開

 帝人<3401>グループで、ITサービス(医療機関・製薬企業・介護事業者向けヘルスケア事業、一般企業向けSIのエンタープライズ事業、ERPソフト「GRANDIT」や緊急連絡・安全確認サービスなどのサービスビジネス事業)、および一般消費者向けネットビジネス(子会社アムタスの電子コミック配信サービス、eコマース、女性向けや音楽系デジタルコンテンツの提供)を展開している。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比はITサービス54%、ネットビジネス46%、営業利益構成比(連結調整前)はITサービス42%、ネットビジネス58%だった。収益面では、ITサービス事業は年度末にあたる第4四半期(1月~3月)の構成比が高い特性がある。

■新中期経営計画で成長加速

 17年2月策定の新中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では、基本方針を「成長の追求」と「成長を支える経営基盤の継続強化」としている。

 成長の追求では電子コミックとヘルスケアを重点事業としてM&Aを積極推進し、AIやIoTを活用したビジネス展開も推進する。成長を支える経営基盤の継続強化では品質管理の継続強化とサービス品質向上、業務プロセス改革による効率化と社会との協業強化、人財育成強化を推進する。

 経営目標数値には、20年3月期売上高600億円~800億円(SI・サービス160億円、ヘルスケア140億円、電子コミック300億円、およびM&A200億円)、EBITDA(営業利益+償却費)70億円~100億円、重点事業(電子コミックとヘルスケア)比率70%、ROE10%以上、配当性向30%を掲げ、M&A戦略投資枠200億円を掲げている。

 電子コミック事業は最新IT技術による機能強化や、導線強化による会員数拡大を推進する。ヘルスケア事業は地域包括・介護領域の強化を推進する。

■18年3月期は増額修正して大幅増収増益・増配予想

 今期(18年3月期)の連結業績予想(10月26日に利益を増額修正)は、売上高が前期(17年3月期)比10.1%増の460億円、営業利益が17.2%増の56億円、経常利益が19.5%増の58億円、純利益が38.0%増の45億円としている。配当予想(10月26日に増額修正)は13円増配の年間38円(第2四半期末10円、期末28円)としている。予想配当性向は23.1%となる。

 ITサービスはヘルスケア事業が好調に推移して、売上高が4.9%増の235億円、新規ビジネスへの先行投資負担を吸収して営業利益が5.5%増の21億円としている。ネットビジネスは電子コミック配信サービスが伸長して売上高が16.3%増の225億円、営業利益が25.0%増の35億円(期初計画比3億円増額)としている。電子コミック配信サービスの売上高目標は210億円としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比9.7%増の212億03百万円、営業利益が46.9%増の23億65百万円、経常利益が62.3%増の26億34百万円、純利益が2.5倍の25億74百万円だった。

 ITサービスのヘルシケア事業、ネットビジネスの電子コミック配信サービスが好調に推移し、計画超の大幅増益だった。売上総利益率は47.5%で0.9ポイント上昇、販管費比率は36.3%で2.0ポイント低下した。経常利益と純利益はデータセンター売却が最小限の費用で完了したことも寄与した。特別利益では固定資産売却益11億38百万円を計上した。

 ITサービスは売上高が7.3%増の105億53百万円で、営業利益(連結調整前)が73.0%増の6億30百万円だった。ヘルスケア事業が好調に推移し、データセンター関連ビジネスの減収をカバーした。ネットビジネスは売上高が12.1%増の106億49百万円で、営業利益が38.9%増の17億29百万円だった。電子コミック配信サービスが好調に推移した。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が46.1%、営業利益が42.2%、経常利益が45.4%、純利益が57.2%である。ITサービスは第4四半期の構成比が高い特性があり、通期ベースでも好業績が期待される。

■株主優待制度は毎年9月末に実施

 株主優待制度は毎年9月30日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として、連結子会社ドゥマンが運営する食品通信販売サイト「オーガニックサイバーストア」で利用可能なポイント(1ポイントを1円として利用)を保有株数と保有年数に応じて贈呈する。

■株価は調整一巡感

 株価は10月の上場来高値2935円から利益確定売りで反落したが、大きく下押すことなく、2500円~2700円近辺で推移して調整一巡感を強めている。

 12月7日の終値2561円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS164円56銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間38円で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS861円50銭で算出)は3.0倍近辺である。時価総額は約738億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る形だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る