【編集長の視点】MDVは最安値更新も新サービス開始、続伸業績を見直し突っ込み買いに一考余地

編集長の視点

 メディカル・データ・ビジョン(MDV)<3902>(東マ)は、390円安の6060円と急反落して始まり、今年2月13日につけた上場来安値6330円を下抜いています。きょう3日の全般相場が、為替相場の1ドル=120円台回復とともに輸出関連株買い・内需株売りの展開で始まり、内需業態の同社株も売り先行で始まっています。ただこの突っ込み場面では、3月1日から開始した薬剤の安全性を分析するなどの新サービスをテコに今12月期業績の続伸予想を見直し底上げ期待の反対売買の買い物も交錯しています。同サービスは、同社が2015年から本格化する第3フェーズ(投資フェーズ)の柱の一つとなっており、同フェーズでは売り上げが年率30%前後の増加、経常利益率が10%前後と計画されています。

■データネットワークサービスと相乗し売り上げは30%増、経常利益率10%

新サービスは、2012年4月に労働厚生省から医薬品リスク管理計画(RMP)指針が通達されて以来、薬剤の有効性・安全性対策が重要視されており、同社が保有する約900万人分の大規模データベースを活用して製薬会社や公的研究機関、大学などに疫学調査支援を目的とする分析システム「MDV analyzer for Academia」の提供を開始するもので、利用料金は年間2000万円となっています。このほか同時に同データベースを活用した一般医薬品の分析サービスの提供開始も発表しています。

同社は、入院時に医療費を包括払いする制度(DPC)を採用している対象病院向けにDPC分析ベンチマークシステム「EVE」を展開、このシェアが約44%となっており、これを含めたデータネットワークサービスで蓄積した各種データをデータ利活用サービスとして提供し、両サービスが相乗させることで業績も高成長させる独自のビジネスモデルを展開しています。今期から本格化する第3フェーズを投資フェーズ、2017年からの第4フェーズを投資回収フェーズと位置付けています。

今12月期業績も、データネットワークサービスの売り上げを前々期の10億5300万円、前期の12億1300万円、今期予想の17億7600万円へ、データ利活用サービスも同じく4億7600万円、7億3700万円、8億7600万円とそれぞれ伸ばすことによって続伸を見込んでいます。具体的には売り上げ26億2200万円(前期比34.4%増)、経常利益2億6200万円(同5.5%増)、純利益1億4600万円(同7.8%増)と予想、増収率30%、経常利益率10%をクリアします。

■25日線から12%強の下方かい離で値幅・日柄調整一巡を示唆

株価は、昨年12月26日に公開価格5180円で新規株式公開(IPO)され、1万2220円で初値をつけ上場来高値1万6400円まで買い進まれましたが、その後のIPO人気の一巡と全般相場の波乱展開とともに6330円まで調整、底値固めを続けてきました。きょう3日の最安値更新のダメ押しで25日移動平均線からは12%強の下方かい離と下げ過ぎで値幅調整完了を示唆し、最高値から2カ月半と日柄調整も目先一巡感を強めており、直近IPO株人気も再燃させ底上げが期待できそうです。(本紙編集長・浅妻昭治)

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