【編集長の視点】2018年IPO第1号のMマートは成長可能性を評価して高人気化の事前予想が高まる

 Mマート<4380>(東マ)は、今年2月23日に2018年の新規株式公開(IPO)市場のトップバッターとして東証マザーズ市場にIPOされ、明14日に公開価格が決定される予定にあるが、初決算の2018年1月期業績の大幅増益が予想されるなど同社が展開するマーケットプレイス(インターネット上の取引市場)事業の成長可能性を評価する下馬評が高く、初値高倍率の事前予想が高まっている。全般の相場が、米国株の続急落をキッカケに世界同時株安の懸念を強めるなか、上値のシコリがなく値動きの軽いIPO株の特性を手掛かりに投資資金が集中し、超弱気に傾いた投資家心理を大幅に改善するいわゆる「救世主銘柄」に急浮上する期待もオンしており、前向き対処で報われそうだ。

■業務用食材などのBtoB事業を展開し新規サイトも次々にオープン

 Mマートは、今年1月19日に2018年のIPO第1号として上場が承認され、1140円~1240円を仮条件にブックビルディング中で、明14日に公開価格が決定される。同社は、2000年2月に設立され、飲食業界、宿泊業界、中食業界などを買い手として業務用食材、厨房機器、業務用機械などを供給するBtoB(業者間電子商取引)のマーケットプレイス事業を展開、生産性が低いといわれる流通業界の効率化を支援している。運営サイトは、厨房機器、食器などの業務卸サイト「Bnet」、食材のアウトレットサイト「卸・即売市場」、原則50キログラム以上の商品販売に限定したサイト「大口一括販売コーナー」、農業生産者から新鮮野菜を直送するサイト「アサトレ」など多岐にわたり、昨年4月には規格外のお米(中米)のオークションサイト「チューオク」、同8月には500キログラムから10トンまでの大量販売が可能なサイト「蔵前渡し」をそれぞれオープンした。買い手企業は、必要な商品を必要な時間に安価に仕入れることができ、売り手企業も、同サイトへの出店で人件費などの販管費の削減、商品の24時間掲載による広告宣伝効果、新規顧客開拓による販路拡大などのメリットを高めている。

 国内のBtoB市場は、経済産業省の報告によれば2016年に前年比1.2%の204兆円、電子商取引の割合であるEC化率は、同0.6ポイント増の19.8%と拡大しており、同社は、この巨大市場でメインプレーヤーとして高成長が期待される。現にIPO後の初決算として目下集計中の2018年1月期業績は、各サイトへの出店企業の増加や新規サイトの開設効果も加わり売り上げ6億円(前期比12.8%増)、営業利益1億1200万円(同2.12倍)、経常利益1億1300万円(同2.14倍)、純利益7400万円(同1.35倍)と大幅増収増益が見込まれている。

■想定価格のPERは既上場の類似企業を下回り市場では5000円台の初値観測も

 株価は、明14日に決定予定の公開価格をベースにIPOに向けて投資判断が左右され初値観測などが旺盛となるが、同社の想定価格1190円はPER31倍台と既上場の類似企業の40倍台を大きく下回っている。またマザーズ案件のIPOでは、BtoB株は人気業態であり、また同社の公開株式数では売出株式数より公募株式数が多く、大株主に90日間のロックアップ条件もついている需給要因から、市場の事前予想では5000円台の初値形成観測も出ている。2月相場の最注目銘柄となりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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