アーバネットコーポレーションはモミ合い煮詰まり感、18年6月期減益予想だが19年6月期の収益再拡大期待

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 アーバネットコーポレーション<3242>(JQ)は東京23区中心に投資用・分譲用マンションの開発・販売事業を展開している。18年6月期は自社開発投資用ワンルームマンションの売上計上戸数減少で減益予想だが、19年6月期は収益再拡大が期待される。株価はモミ合い展開だが、徐々に下値を切り上げて煮詰まり感を強めている。18年6月期末から導入する株主優待制度も見直し材料だろう。なお5月10日に第3四半期決算発表を予定している。

■東京23区中心に投資用マンション開発・販売

 東京23区中心に投資用・分譲用マンションの開発・販売事業を展開している。アウトソーシングを積極活用し、少数精鋭の組織体制で固定費の極小化を図っている。

 親会社の同社は投資用ワンルームマンション開発・1棟販売や分譲マンション開発などBtoB卸売、子会社のアーバネットリビングは同社開発物件の戸別販売、他社物件の買取再販、マンション管理・賃貸などBtoC小売を基本事業としている。

 自社開発物件ブランドは、ワンルームマンションの「アジールコート」、コンパクトマンションの「アジールコフレ」、ファミリーマンションの「グランアジール」、戸建住宅の「アジールヴィラ」である。人口流入が続くエリアでの投資用ワンルームマンション開発を展開し、今後の取り組みとしてホテル開発事業で18年中の用地取得を目指している。

 収益は物件売上計上によって変動しやすい特性がある。配当性向の基本方針は当期純利益から法人税等調整額の影響を排除した数値の35%を配当するとしている。

■18年6月期減収減益・減配予想だが19年6月期収益再拡大期待

 18年6月期の連結業績予想は、売上高が17年6月期比10.1%減の160億円、営業利益が38.0%減の15億円、経常利益が42.1%減の12億50百万円、純利益が42.0%減の8億50百万円としている。

 売上計上の計画は、自社開発投資用ワンルームマンション・分譲マンションが12棟・537戸、新規分野のアパート・テラスハウスが5棟・37戸、買い取り再販が5物件・5戸としている。売上総利益率は1棟一括販売が無いため3.1ポイント低下の18.4%見込み、販管費比率は1.2ポイント上昇の9.1%の見込みとしている。自社開発投資用ワンルームマンションの売上計上戸数が50戸減少して減収減益予想である。
 
 なお2月26日には販売用不動産売却の確定を発表している。投資用ワンルームマンション「糀谷PJ(仮称)」で、売却価格は17年6月期売上高の10%に相当する額としている。引き渡しは18年3月下旬予定で、18年6月期業績予想に織り込み済みとしている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比17.4%減の88億34百万円、営業利益が30.8%減の12億18百万円、経常利益が32.3%減の11億05百万円、純利益が32.2%減の7億58百万円だった。売上計上は自社開発投資用ワンルームマンション・分譲マンション7棟・295戸、買い取り再販物件2戸(前年同期は自社開発投資用ワンルームマンション・分譲マンション6棟・285戸、用地転売1物件、買い取り再販物件3戸)だった。

 超低金利継続や相続税対策などを背景として、投資用ワンルームマンションに対する投資・購入マインドは旺盛である。18年6月期は自社開発投資用ワンルームマンションの売上計上戸数が減少するが、19年6月期は自社開発投資用ワンルームマンション12棟・633戸、アパート1棟・11戸などの売上計上を目指している。収益再拡大が期待される。

 配当予想は8円減配の年間13円(第2四半期末7円、期末6円)としている。予想配当性向は38.4%である。株主優待制度は18年6月期末から実施する。毎年6月末現在の10単元(1000株)保有株主に対して、保有株式数および保有期間に応じて株主優待ポイントを贈呈する。株主優待ポイントは「アーバネットコーポレーション・プレミアム優待倶楽部」サイトにおいて、食品、家電製品、ギフトなどと交換できる。

■株価はモミ合い煮詰まり感

 株価は350円~370円近辺でモミ合う展開だが、徐々に下値を切り上げて煮詰まり感を強めている。18年6月期減益・減配予想は織り込み済みだろう。

 4月3日の終値368円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS33円88銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間13円で算出)は約3.5%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS275円54銭で算出)は約1.3倍である。時価総額は約93億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインだ。3%台の高配当利回りや18年6月期末から導入する株主優待制度も見直し材料だろう。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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