【アナリスト水田雅展の銘柄診断】インテリジェントウェイブはマイナンバー制度関連で急動意、収益改善基調も評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 システムソリューション事業のインテリジェントウェイブ<4847>(JQS)の株価が動意づいている。13日は終値で前日比23円(7.42%)高の333円まで急伸した。マイナンバー制度関連を材料視したようだ。今期(15年6月期)営業利益上振れ余地や収益改善基調も評価して15年1月の366円、そして14年9月の391円を目指す展開だろう。

 大日本印刷<7912>の連結子会社で、金融業界やシステム開発会社向けソフトウェア開発を中心にソリューションを提供する金融システムソリューション事業、情報セキュリティ分野を中心に自社開発パッケージソフトウェアや保守サービスを提供するプロダクトソリューション事業を展開している。クレジットカード会社、ネット銀行、証券会社など金融関連のシステム開発受託・ハードウェア販売・保守サービスが収益柱だ。

 中期的には、クレジットカード決済のフロント業務関連から、バックオフィス業務関連など基幹業務関連への事業領域拡大を目指している。14年2月にはジーフィー(GIFI)と個人投資家向け次世代オンライントレードシステム分野で業務提携した。

 2月17日にはサイバーアークソフトウェア社(CyberArk、イスラエル)との国内販売代理店契約締結を発表した。世界65ヶ国以上、1750社以上で導入実績がある同社の特権アカウントセキュイリティソリューションを販売する。

 また2月24日には、Devexperts Japan社との戦略的業務提携契約締結(2月1日付)を発表した。Devexperts社はトレーディングソフトウェア開発に優れたノウハウを持つ会社で、今回の戦略的業務提携によって、これまで実績のある高速取引、リアルタイム市況情報分析のソリューションから、デリバティブシステムを中心とした金融業務執行系プラットフォーム開発へ業務範囲を拡大し、金融業務の幅広いニーズに対応したソリューションを提供するとしている。

 新規事業では大日本印刷との連携を強化して、自社開発コミュニケーションツール「Face(フェイス)コンシェル」の販売を強化している。口語解析技術を駆使したコンシェルジュ(画面上の人物画)が簡単な質問に自動応答するシステムだ。3月3日には新たに損害保険ジャパン日本興亜のウェブサイトで、バーチャルナビゲーションシステムとして採用されたと発表している。

 今期(15年6月期)の連結業績見通し(1月28日に税金費用の減少に伴って純利益を増額修正)は、売上高が前期比2.4%減の64億円、営業利益が同2.6倍の3億80百万円、経常利益が同2.2倍の4億円、純利益が同4.4倍の3億80百万円としている。配当予想(8月6日公表)は前期と同額の年間5円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(7月~12月)は前年同期比6.9%減収だったが、ソフトウェア開発業務よりも相対的に利益率が高いパッケージソフトウェアの販売が計画を上回ったことにより、営業利益、経常利益、純利益とも黒字化した。純利益については税金費用の減少も寄与した。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(7月~9月)14億26百万円、第2四半期(10月~12月)14億18百万円で、営業利益は第1四半期94百万円、第2四半期89百万円である。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が44.4%、営業利益が48.2%、経常利益が45.8%、純利益が64.5%である。第2四半期累計上振れの主因となった金融システムソリューション事業の自社製パッケージソフトウェアの一部は、下期計上予定だったものが前倒し計上されたためとして、純利益以外について8月6日時点の期初見通しを据え置いている。ただし不採算プロジェクトの一巡やソフトウェア開発の受注拡大も寄与して、通期営業利益に上振れ余地があるだろう。

 クレジットカード・金融業界では、システム・ハードウェア更新投資に加えて、ブランドプリペイドカードやモバイル端末決済など決済サービス提供の多様化や、外国人旅行客増加などに対応した新規設備投資、さらに15年10月のマイナンバー制度導入に伴ってIT投資が高水準に推移することが予想される。このためクレジットカード・金融関連の開発案件受注増加が期待され、中期的に収益改善基調だろう。

 株価の動きを見ると、今期純利益見通しの増額修正を好感した1月29日の366円から反落したが、3月13日に終値で前日比23円(7.42%)高の333円まで急伸した。マイナンバー制度関連を材料視して動意づいたようだ。

 3月13日の終値333円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円43銭で算出)は23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS169円00銭で算出)は2.0倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から急反発して水準切り上げの形となった。今期営業利益上振れ余地や収益改善基調も評価して15年1月の366円、そして14年9月の391円を目指す展開だろう。

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