【アナリスト水田雅展の銘柄診断】松田産業は13年3月戻り高値を突破、16年3月期の一段の収益拡大期待

銘柄分析

 貴金属リサイクル事業の松田産業<7456>(東1)の株価は、3月13日に1590円まで上伸して13年3月の戻り高値1585円を突破した。今期(15年3月期)業績と配当予想の増額修正を好感して急伸し、来期(16年3月期)の一段の収益拡大も期待する動きのようだ。10年1月の1824円を目指す展開だろう。

 貴金属リサイクルを主力とする貴金属関連事業、および農林水産品を扱う食品関連事業を展開している。貴金属関連事業では「東アジアNO.1リファイナー」を目指し、国内外の拠点拡充、製品・技術開発強化を推進している。海外は中国、台湾、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムに展開し、ベトナムでは工場建設に着手している。食品関連事業は中国、タイに拠点展開している。

 3月13日には、6月下旬開催予定の第66回定時株主総会において承認されることを条件として、監査等委員会設置会社に移行すると発表した。過半数を社外取締役で構成する監査等委員会の設置により、業務執行の適法性・妥当性の監査・監督機能の強化と、コーポレートガバナンス体制の一層の強化を図ることで、より透明性の高い経営の実現を目指すとしている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(2月12日に増額修正)は売上高が前期比8.8%増の1800億円、営業利益が同22.1%増の55億円、経常利益が同20.6%増の59億円、純利益が同28.4%増の41億円、配当予想(2月12日に増額修正)が同1円増配の年間25円(第2四半期末12円、期末13円)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比7.1%増収、同3.1%営業増益、同1.0%経常減益、同4.6%最終増益だった。貴金属関連事業は環境部門の銀価格下落が影響して減益だったが、貴金属部門の貴金属製品販売数量増加などで増収だった。食品関連事業は販売数量増加や価格上昇などで増収増益だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)429億40百万円、第2四半期(7月~9月)446億83百万円、第3四半期(10月~12月)469億16百万円で、営業利益は第1四半期9億31百万円、第2四半期10億79百万円、第3四半期16億86百万円となり、収益は拡大基調だ。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.8%、営業利益が67.2%、経常利益が68.0%、純利益が67.8%でやや低水準の形だが、半導体・電子部品業界の生産が回復基調であり、貴金属関連事業で利益率の向上や貴金属相場の上昇が寄与する。さらに来期(16年3月期)は、景気回復に伴って半導体・電子部品業界の生産増加が期待され、収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、3月13日に1590円まで上伸する場面があり13年3月の戻り高値1585円を突破した。今期業績と配当予想の増額修正を好感して急伸し、来期の一段の収益拡大も期待する動きのようだ。

 3月13日の終値1571円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS154円03銭で算出)は10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1778円38銭で算出)は0.9倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。来期の一段の収益拡大期待で10年1月の1824円を目指す展開だろう。

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