【編集長の視点】藤商事は3月通期業績の上方修正・V字回復を見直し内需系割安株買いが膨らみ3連騰

 藤商事<6257>(JQS)は、前週末20日に14円高の1298円と3日続伸して引け、取引時間中には1307円まで買い進められ、今年4月6日に突っ込んだ直近安値1232円からのリバウンド幅を拡大させた。同社株は、今年4月13日に目下集計中の2018年3月期の通期業績の上方修正を発表、黒字転換幅を拡大させV字回復をいっそう際立たせたが、利益水準が、市場コンセンサスを下回るとして急落、極大陰線を引いた。ただ、PER面から12倍台は売られ過ぎとして、内需系の割安株買いが増勢となった。とくに今年3月16日に発売パチスロ機の新製品「CR FAIRY TAIL」が上方修正の要因の一つとなっており、この通期フル寄与から次期2019年3月期業績への期待も高め、一段の株価押し上げ材料として意識されている。

■「CR FAIRY TAIL」などの新製品が寄与し黒字転換幅が大幅に拡大

 同社の2018年3月期通期業績は、期初予想より売り上げを23億円、営業利益を18億円、経常利益を12億円、純利益を6億円それぞれ引き上げ、売り上げ523億円(前期比58.7%増)、営業利益43億円(前期は22億7100万円の赤字)、経常利益37億円(同22億8000万円の赤字)、純利益23億円(同19億4400万円の赤字)とし、売り上げは大幅増収転換するとともに、利益のV字回復を達成した。パチンコ遊技機の販売台数が、昨年12月に発売した「CR地獄少女 宵伽(よいのとぎ)」やその他のシリーズ機種の継続販売、さらに新製品「CR FAIRY TAIL」の寄与などで計画の10万5000台から11万台に伸び、パチスロ遊技機の販売台数は、第4四半期に発売を予定していた機種を次期発売に繰り越し計画の2万5000台から2万台に下ぶれるが、部材調達や生産の効率化による原価低減活動や各種経費の管理強化を進めたことが、上方修正要因となった。
 続く次期2019年3月期の業績動向については、今年5月11日に予定している3月期決算発表時の業績ガイダンスを待たなくてはならないが、今年2月に施行された改正規則に適合したパチスロ機「CR FAIRY TAIL」のフル寄与や、今年3月8日に配信を開始したスマートフォン向けPRG「23/7トゥエンティスリーセブン」なども加わり、業績続伸の可能性が強い。

■上方修正ベースのPERは13倍台となお割り負け昨年来高値奪回にチャレンジ

 株価は、今年年初に「CR FAIRY TAIL」の発売時期を今年3月上旬と開示したことから25日移動平均線の出没ステージから上放れ3Q好決算も続いて1280円高値へ買い進まれ、世界同時株安の波及で年初来安値1198円へ下ぶれた。同安値からは、原作マンガ「FAIRY TAIL」の作者の真島ヒロ氏が、「第45回アングレーム国際漫画フェスティバル」の特別栄誉賞を受賞したことや期末の配当権利取りで急伸し、昨年来高値1583円まで32%高した。足元では、配当権利落ち後安値の1300円台下位で売り買いが交錯し、業績の上方修正では、逆に市場コンセンサスを下回るとして1232円安値へ再調整した。ただ上方修正ベースのPER評価で12倍台、PBRは0.6倍、実績配当利回りも4.0%と売られ過ぎを示唆して底上げ一時1300円台にタッチした。なおPERは13倍台と割り負けており、内需系の割安株買いが加速して昨年来高値奪回にチャレンジしよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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