オンコリスバイオファーマは底値圏、がん領域中心にパイプライン構築

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 オンコリスバイオファーマ<4588>(東マ)は、ウイルス遺伝子改変技術を活用した新規がん治療薬や新規がん検査薬を開発するバイオベンチャーである。がん領域中心に、がん早期発見から転移がん治療を網羅するパイプラインを構築している。株価は急反発した7月の戻り高値から反落したが、ほぼ底値圏だろう。

■がん領域中心にパイプライン構築

 がんや重症感染症領域を中心に、ウイルス遺伝子改変技術を活用した新規がん治療薬や新規がん検査薬を開発するバイオベンチャーである。

 パイプラインとして、がん領域では、腫瘍溶解ウイルスのプラットフォームをベースに、固形がん治療を行う腫瘍溶解ウイルスのテロメライシン(OBP-301)、第2世代テロメライシンであるOBP-702やOBP-405、がんの早期発見または術後検査を行う新しい検査薬のテロメスキャン、新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801を揃えることで、がんの早期発見・初期のがん局所治療・術後検査・転移がん治療を網羅するパイプラインを構築している。

 新規B型肝炎治療薬としてOBP-AI-004を、鹿児島大学と化合物スクリーニング中である。その他ではZika熱ワクチン開発ベンチャーの米国プレシジョン社に出資、新規腫瘍溶解アデノウイルス開発バイオベンチャーの米国アンリーシュ社に出資している。

 17年11月、がん体外検査薬テロメスキャン(OBP-401、IBP-1101)について順天堂大学と共同研究契約を締結、テロメスキャンF35(OBP-1101)がロシア特許出願の特許査定を受けた。17年12月、腫瘍溶解ウイルスのテロメライシン(OBP-301)と抗PD-1抗体との併用に関する医師主導治験で、国立がん研究センター東病院において第1例目の被験者への投与開始、テロメライシンの中国でのライセンス契約先である中国のハンルイ社が第1回マイルストーンを達成した。

 18年2月、テロメスキャンF35(OBP-1101)が欧州特許出願の特許査定を受けた。18年5月、英国スタビリテック社と、テロメライシン(OBP-301)の保存安定製剤のための技術導入を目的としたライセンス契約を締結した。

 18年7月には、新規エピジェネティックがん治療薬OBP-801の眼科疾患領域への応用を目的とした特許出願を発表した。また第16回日本臨床腫瘍学会において、岡山大学における食道がんを適応症とするテロメライシンと放射線の併用に関する医師主導臨床研究の結果が発表された。

■18年12月期は研究開発費増加

 18年12月期の非連結業績予想は、売上高が17年12月期比0.4%増の2億30百万円、営業利益が14億円の赤字、経常利益が14億円の赤字、純利益が14億円の赤字としている。

 第2四半期累計は売上高が90百万円、営業利益が6億43百万円の赤字、経常利益が6億39百万円の赤字、純利益が6億41百万円の赤字だった。研究開発費の増加(約0.9億円増加の3.0億円)で赤字が拡大した。

 通期ベースでも赤字が拡大する見込みだ。テロメライシンおよびOBP-801の臨床試験を中心とする研究開発費用を見込んでいる。

■株価はほぼ底値圏

 株価は急伸した7月26日の戻り高値792円から反落して安値圏に回帰したが、7月5日の年初来安値481円まで下押す動きは見られない。500円台はほぼ底値圏だろう。8月9日の終値は567円、時価総額は約63億円である。

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