【アナリスト水田雅展の銘柄分析】イワキは戻り高値圏で堅調、15年11月期業績に増額余地

銘柄分析

 医薬品・医薬品原料商社のイワキ<8095>(東1)の株価は戻り高値圏の240円近辺で堅調に推移している。15年11月期業績見通しの増額余地や0.5倍近辺の低PBRを評価して、14年7月と9月の高値264円を試す展開だろう。

 1914年創業の医薬品商社で、医薬品事業(医療用・一般用・動物用医薬品の製造・販売、調剤薬局経営)、医薬品原料・香粧品原料事業(医薬品・香粧品原料の製造・販売、化粧品OEM製造)、化成品事業(電子工業用薬品・表面処理用薬品・化成品の製造・販売)、食品原料・機能性食品事業(食品原料の製造・販売、サプリメントOEM製造)、その他事業(医療機器の販売、化粧品の製造・販売)を展開している。

 全国の医薬品卸・医療機関・ドラッグストアなどに医薬品や機能性食品などを供給する卸売機能、国内外のメーカーなどを開拓して輸出入する商社機能、グループ内の岩城製薬(ジェネリック医薬品・医薬品原料、医療機関向け化粧品など)とメルテックス(表面処理薬品など)のメーカー機能を併せ持つことが強みで、卸売・商社・メーカー機能の連携を強化している。

 中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での共同開発・受託品の拡大、ドラッグストア向けPB商品など自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業での市場シェア拡大、インド・グレンマーク社など海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外(タイ、韓国、中国)展開強化、日立化成<4217>とのアライアンスによる拡販などを推進している。

 4月22日~24日に東京ビックサイトで開催の「CphI/ICSE/P-MEC JAPAN2015」(国際医薬品原料・中間体展他)に出展し、ジェネリック原薬を中心に国内外の高品質な医薬原薬・中間体を紹介する。

 今期(15年11月期)の連結業績見通し(1月14日公表)は売上高が前期比2.1%減の530億円、営業利益が同1.1%増の9億円、経常利益が同2.2%減の9億50百万円、純利益が同18.7%増の6億円、配当予想が前期から記念配当1円50銭を落として年間6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。

 円安進行に伴う輸入原材料価格の上昇などを考慮して今期業績は概ね横ばいの会社見通しだ。しかし外皮用剤などのジェネリック医薬品、ジェネリック医薬品用原料、ドラッグストア向け自社企画PB商品、プリント配線板向け表面処理薬品などが好調に推移する見通しだ。

 薬価改定の影響一巡、岩城製薬の生産能力増強、メルテックスの新製品拡販なども寄与して会社見通しには増額余地があるだろう。中期的にもジェネリック医薬品・原料関連市場の拡大が追い風となりそうだ。

 株価の動きを見ると、直近安値圏210円台で下値固めが完了して戻り歩調の展開だ。3月13日には242円まで上伸して14年11月の239円を突破した。その後も戻り高値圏の240円近辺で堅調に推移している。

 3月24日の終値239円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS17円77銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS514円70銭で算出)は0.5倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して上伸した。13週移動平均線も上向きに転じている。強基調への転換を確認した形であり、今期業績見通しの増額余地や0.5倍近辺の低PBRを評価して、14年7月と9月の高値264円を試す展開だろう。

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