【アナリスト水田雅展の銘柄診断】アドアーズは下値固め完了、16年3月期の収益改善期待でモミ合い上放れ

銘柄分析

 アミューズメント事業や不動産事業を展開するアドアーズ<4712>(JQS)の株価は、安値圏でのモミ合い展開が続いたが下値固め完了感を強めている。15年2月のアミューズメント施設既存店売上高は前年比プラスに改善した。16年3月期の収益改善期待でモミ合い上放れのタイミングだろう。カジノ法案(IR推進法案)が今年度中に国会に再提出の見込みとなったことも支援材料だ。

 13年2月に、親会社Jトラスト<8508>グループで戸建て住宅分譲や商業建築など展開するキーノート、アミューズメント施設向け景品製作・販売など展開するブレイクを子会社化し、Jトラストグループ内で建築・不動産事業とアミューズメント事業の中核を担う位置付けとなった。

 アミューズメント事業では利益率の高いメダルゲームジャンルを注力分野として収益改善を目指している。新業態開発やゲーム景品製造も強化し、当社独自のアミューズメント機器の開発も視野に入れている。不動産事業では一戸建分譲事業のエリア拡大や不動産アセット部門を強化する方針だ。

 14年9月には韓国JBアミューズメント(JBA)の第三者割当増資を引き受けて第2位株主となった。韓国・済州新羅ホテルでカジノ事業を行うマジェスターを含むJBAグループと協力関係を構築し、アミューズメント事業におけるシナジー創出や事業拡大を目指す方針だ。

 また14年11月には通所介護事業の日本介護福祉グループを連結子会社化して介護事業に参入した。日本介護福祉グループはデイサービス施設運営の最大手で、主に「茶話本舗」ブランドで日本全国797拠点(通所介護直営45事業所、通所介護FC710事業所など)を展開している。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月13日公表)は売上高が前期比4.3%増の240億円、営業利益が同31.7%減の9億円、経常利益が同35.8%減の7億50百万円、純利益が同47.0%減の5億円、配当予想が前期と同額の年間2円(期末一括)としている。

 アミューズメント事業では無料ソーシャルゲームの影響、不動産事業の戸建て分譲部門では消費増税の影響、そして前期の利益を大幅に押し上げた不動産アセット部門の反動減を考慮して減益見通しとしている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比0.8%増収、同32.4%営業減益、同34.2%経常減益、同42.3%最終減益だった。個人消費減退の影響を受けたアミューズメント事業の低調が影響した。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)56億85百万円、第2四半期(7月~9月)60億97百万円、第3四半期(10月~12月)61億04百万円で、営業利益は第1四半期3億60百万円、第2四半期3億52百万円、第3四半期1億10百万円である。

 第3四半期累計は大幅減益だったが、通期見通しに対する進捗率は売上高が74.5%、営業利益が91.3%、経常利益が96.7%、そして純利益が122.0%と高水準である。第4四半期(1月~3月)には日本介護福祉グループの新規連結も寄与するため通期増額の可能性があるだろう。

 アミューズメント施設の既存店売上高(前年比、速報値)を見ると、15年2月度は102.1%(消費増税による売上減少を除いた実質既存店前年比は105.1%)で、14年11月以来3ヶ月ぶりの前年比プラスとなった。女性向け景品が人気のプライズゲームの好調が続いているようだ。来期(16年3月期)の収益改善期待が高まる。

 株価の動きを見ると安値圏でのモミ合い展開が続いているが、14年5月安値123円、12月安値124円まで下押す動きは見られず、下値固め完了感を強めている。

 3月25日の終値132円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円59銭で算出)は36~37倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間2円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS78円77銭)は1.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、125円~126円近辺が下値支持線のようだ。下値固めが完了し、16年3月期の収益改善期待でモミ合い上放れのタイミングだろう。

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