【アナリスト水田雅展の銘柄診断】JFEシステムズは高値圏で堅調、営業損益改善基調を評価して07年1月高値試す

銘柄分析

 システム開発のJFEシステムズ<4832>(東2)の株価は、高値圏の1300円近辺で堅調に推移して自律調整一巡感も強めている。15年3月期利益増額の可能性があり、営業損益改善基調を評価して1月高値1400円、07年1月高値1480円を試す展開が期待される。

 川崎製鉄(現JFEスチール)のシステム部門を分離した情報サービス企業で、鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向けSI(システム・インテグレーション)事業や、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も展開している。

 アライアンス戦略では、13年5月に大阪ガス<9532>子会社オージス総研と協業、ビジネスブレイン太田昭和<9658>と資本・業務提携した。

 中期成長戦略として、鉄鋼事業でのJFEスチールと連携した製鉄所システム統合・共通化推進、JFEスチールの海外展開へのIT支援、ERPを核とした製造流通向け複合ソリューションの強化、自社プロダクト・ソリューション事業の強化(帳簿データ保存ソリューション、電子帳票システム「FiBridgeⅡ」のタブレット対応、MQネットによる原料規格書サービスなど)を掲げている。

 重点戦略の鉄鋼事業「JFEスチールIT施策の推進」では、JFEグループの海外展開を支援すべく、前期にタイCGL(溶融亜鉛めっきライン)工場向けで開発した海外製造拠点向け標準システムを、インドネシアCGL工場へ導入中だ。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(4月24日公表)は売上高が前期比2.5%増の360億円、営業利益が同37.8%増の15億20百万円、経常利益が同35.6%増の15億20百万円、純利益が同53.8%増の8億60百万円、配当予想が同6円増配の年間28円(期末一括)としている。

 第3四半期累計(4~12月)は前年同期比3.9%増収、同10.8倍営業増益、同10.0倍経常増益、同26.2倍最終増益だった。製造流通向け複合ソリューションの拡大、JFEスチールのIT投資回復、高収益案件や販管費抑制などが寄与して営業損益が大幅に改善した。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4~6月)77億69百万円、第2四半期(7~9月)89億33百万円、第3四半期(10~12月)84億38百万円、営業利益は第1四半期83百万円の赤字、第2四半期5億28百万円、第3四半期4億77百万円である。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が69.8%、営業利益が60.7%、経常利益が60.1%、純利益が60.9%である。営業損益は改善基調であり、第4四半期(1~3月)の構成比が高い収益構造を考慮すれば、通期利益増額の可能性もあるだろう。

 16年3月期も、JFEスチールのIT投資拡大と大型案件による売上総利益率改善、製造流通向け複合ソリューションの拡大、自社プロダクト拡販などが牽引して営業損益は改善基調だろう。

 株価の動きを見ると、急伸した1月高値1400円後は上げ一服の形だが、高値圏の1300円近辺で堅調に推移している。15年3月期の大幅増益見通しを評価する流れに変化はなく、自律調整一巡感も強めている。

 3月25日の終値1325円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS109円51銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は2.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1226円53銭で算出)は1.1倍近辺である。

 週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線が接近して再動意のタイミングだ。15年3月期利益見通し増額の可能性があり、営業損益改善基調を評価して1月高値1400円、07年1月高値1480円を試す展開が期待される。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■9割超が対策を実施も、「WBGT」の認知は依然として低調  帝国データバンクの調査により、「熱中…
  2. ■「変身と成長」掲げ1300億円の積極投資、収益構造の転換図る  吉野家ホールディングス<9861…
  3. ■人手不足を補いながら顧客満足度の向上に貢献  シャープ<6753>(東証プライム)は5月20日、…
2025年6月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

ピックアップ記事

  1. ■選挙関連の「新三羽烏」の株価動向をウオッチ  足元では野党が石破内閣への内閣不信認決議案提出を見…
  2. どう見るこの相場
    ■米、イラン核施設を電撃空爆、緊張激化へ  「2週間以内」と言っていたのが、わずか「2日」である。…
  3. ■イスラエル・イラン衝突でリスク回避売りが優勢に  イスラエルのイラン攻撃を受け、13日の日経平均…
  4. ■ホルムズ海峡封鎖なら「油の一滴は血の一滴」、日本経済は瀬戸際へ  コメ価格が高騰する「食料安全保…
  5. ■トランプリスク回避へ、大谷・藤井・大の里株が浮上  『おーいお茶』を展開する伊藤園<2593>は…
  6. ■昭和の象徴、長嶋茂雄さん死去  またまた「昭和は遠くなりにけり」である。プロ野球のスパースター選…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る