【アナリスト水田雅展の銘柄分析】建設技術研究所は調整の最終局面、15年12月期業績増額の可能性を評価

銘柄分析

 建設コンサルタント大手の建設技術研究所<9621>(東1)の株価は軟調展開が続いたが調整のほぼ最終局面だろう。循環物色で建設関連が注目され始めており、15年12月期業績増額の可能性を評価して反発局面が期待される。

 総合建設コンサルタントの大手で河川・ダム・海岸・海洋、道路、橋梁、トンネル、都市・地方計画などの分野に強みを持ち、中期経営計画では防災・減災計画関連、都市計画関連、環境関連などを重点分野と位置付けて、再生エネルギーを活用するスマートコミュニティ、民間資金を活用するPFI・PPP事業、そして鉄道や物流などの分野への取り組みも強化している。

 13年9月には農業・農村関連ビジネスへの参入を視野に入れて子会社CTIフロンティアを立ち上げ、14年4月には太陽光発電事業に着手した。

 今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月13日公表)は売上高が前期比3.7%増の410億円、営業利益が同4.6%増の25億円、経常利益が同3.0%増の26億円、純利益が同4.0%増の15億50百万円、配当予想が前期と同額の年間18円(期末一括)としている。

 東日本大震災の復興関連業務の重点が設計段階から施工段階に移行することに加えて、財政再建のための発注減少も予想されるとして、前期の大幅増益に比べてやや慎重な見通しだ。受注高は同0.9%減の400億円の計画だ。

 ただし国土強靭化基本計画に沿って社会資本整備に対する計画的な投資が実行される。20年東京夏季五輪関連、リニア新幹線関連など建設ビッグプロジェクトも目白押しであり、防災・減災関連、老朽化インフラ補修・更新関連、都市再開発関連、アベノミクス重点戦略「地方創生」関連の案件増加が追い風だ。会社見通しは保守的な印象が強く増額の可能性があるだろう。中期的にも良好な事業環境を背景として収益拡大が期待される。

 株価の動きを見ると、14年10月高値1942円から反落して軟調展開となり、3月18日には1217円まで調整した。ただしその後は下げ渋り感を強めている。高値から約3分の1押した水準で調整のほぼ最終局面のようだ。

 3月26日の終値1229円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS109円61銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1539円79銭で算出)は0.8倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が抵抗線の形だが、14年前半に上値のフシだった1200円近辺に接近して調整のほぼ最終局面だろう。循環物色で建設関連が注目され始めた流れもあり、15年12月期業績増額の可能性を評価して反発局面が期待される。

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