【アナリスト水田雅展の銘柄分析】セーラー万年筆はレンジ下限から反発のタイミング、15年12月期営業黒字化見通し

銘柄分析

 万年筆の老舗でロボット機器事業も展開するセーラー万年筆<7992>(東2)の株価は、上値は重いが下値も堅い展開でモミ合い煮詰まり感を強めている。レンジ下限から反発のタイミングだろう。15年12月期営業黒字化見通しを評価してモミ合い上放れの展開も期待される。

 文具事業(万年筆、ボールペン、電子文具、景品払出機、ガラスCD、窓ガラス用断熱塗料など)、およびロボット機器事業(プラスチック射出成形品自動取出装置・自動組立装置など)を展開している。

 文具事業はブランド力の高い万年筆を主力として、中期成長に向けて電子文具への事業展開も加速している。ロボット機器事業は1969年に開発に着手した歴史を持ち、09年にはプラスチック射出成形品用自動取出ロボットで世界初の無線ハンディコントローラ搭載RZ-Σシリーズを開発した。

 今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月16日公表)は売上高が前期比2.1%増の63億円、営業利益が1億10百万円(前期は91百万円の赤字)、経常利益が85百万円(同2億38百万円の赤字)、純利益が80百万円(同2億09百万円の赤字)の黒字化で、配当予想は無配継続としている。なお3月2日に固定資産売却益40百万円の計上を発表したが、今期業績見通しに織り込み済みとしている。

 増収効果で営業黒字化見通しである。国内文具事業では前期末に発売した新機能ボールペン「G-FREE」が好評であり、消費増税の影響一巡も期待される。ロボット機器事業は前期末から受注が回復傾向を強めている。高価格の上位機種の拡販も期待される。なお写楽精密機械(上海)は15年度中に清算結了予定としている。収益は改善基調だろう。

 なお前期実績が計画を下回ったため、中期経営計画(14年~16年)の最終目標達成年度を1年延長するととともに、新たな数値目標を設定して17年12月期に売上高経常利益率2.5%以上、有利子負債11億円以下とした。

 業績計画は17年12月期売上高70億70百万円、営業利益2億円、経常利益1億80百万円、純利益1億35百万円とした。基本戦略として、文具事業ではターゲットを絞った特徴ある製品の開発、新規販売チャネルの開拓、海外市場の再構築、新規事業の推進、ロボット機器事業では射出成型機用取出ロボットの拡販を推進する方針だ。

 なお前期まで数期連続して当期純損失を計上しているため、継続企業の前提に疑義の注記が付されている。

 株価の動きを見ると、36円~41円近辺でモミ合う展開が続いている。上値は重いが下値も堅い展開だ。そしてモミ合い煮詰まり感を強めている。

 3月26日の終値36円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS64銭で算出)は56倍近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS15円35銭で算出)は2.3倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、モミ合いレンジ下限に到達して反発のタイミングだろう。15年12月期営業黒字化見通しを評価してモミ合い上放れの展開も期待される。

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