フライトホールディングスは売られ過ぎ感、19年3月期大幅増収増益予想でキャッシュレス化が追い風

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 フライトホールディングス<3753>(東2)は電子決済ソリューションなどを主力としている。キャッシュレス化の流れが追い風である。19年3月期は第2四半期累計に納品の期ズレが発生したが、通期予想に変化はなく、電子決済ソリューション大口案件が牽引して大幅増収増益予想である。株価は戻り高値圏から反落して水準を切り下げたが、売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。

■電子決済ソリューションが主力

 フライトシステムコンサルティングがシステム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、および電子決済ソリューションなどのサービス事業、イーシー・ライダーがB2B(企業間取引)ECサイト構築システムなどのECソリューション事業を展開している。海外は電子決済ソリューションの本格展開に向けて米国と台湾に準備会社を置いている。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、C&S事業が38%、サービス事業が55%、ECソリューション事業が6%だった。収益面ではサービス事業の大型案件によって変動する特性がある。

■C&S事業はロボット関連を強化

 C&S事業は、公共系・音楽配信系・金融系・物流系・放送系などのシステム開発を展開し、ロボット関連を強化している。

 17年2月には、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」関連として、ジエナ社と共同で法人向けロボットのコンテンツマネージメントソリューション「Scenaria」を開発した。アプリ開発の経験が無い部署でも簡単にコンテンツの更新ができるソリューションである。18年9月には「Scenaria」がロボコネクト用Sota(小型のデスクトップ型ロボット)に対応した。

■サービス事業は電子決済ソリューションのマルチ決済端末など展開

 サービス事業は電子決済ソリューション分野で、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist」シリーズと、スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」を展開している。電子決済事業に関して複数暗号鍵の切り替えに関する特許、無線を使った複数機器の設定に関する特許、複数加盟店の切り替えに関する特許を取得している。

 スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」は、iPhoneやiPadをクレジットカード決済端末に利用する大企業向けのBtoB決済ソリューションである。10年9月に国内初のiPhoneを活用した法人向け決済ソリューションとして提供開始し、高級ホテル・レストラン・観光タクシー・旅行代理店など幅広い業種に導入されている。

 スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist」シリーズは全国のソフトバンクショップ、ドコモショップに導入されている。

 多機能モバイル決済端末「incredist Premium」は磁気クレジットカード決済、EMV(接触型ICクレジットカード)決済、コンタクトレスEMV(ICカード国際規格EMV技術を用いた非接触IC決済対応クレジットカード)決済、日本独自の電子マネー決済に対応している。またMastercardなど国際6ブランドのコンタクトレスEMV認定が完了している。

 なおコンタクトレスEMVでは三井住友カードと接続を開始している。また国内向け電子マネーでは、NTTドコモの「iD」に対応済みで、交通系電子マネー等のブランド検定を進行中である。

 さらに据置型でタブレット不要・プリンタ内蔵のマルチ決済装置「Incredist Trinity」は18年7月サンプル出荷を開始した。モバイル型と据置型の両面展開を推進する。

 18年5月には三井住友カードと包括加盟店契約を締結した。三井住友カードの代行として、加盟店の開拓・加盟店契約締結・管理を行い、決済金額に応じた手数料収入を得る。従来の決済装置および決済ソリューションの販売に加えて、継続的に手数料収入が得られるストック型収益源となる。また今後は中堅カード会社との接続など決済パートナーの拡大を目指す。

■C&S事業とサービス事業の融合を推進

 ロボット市場の拡大に向けて、C&S事業とサービス事業を融合して「Scenaria」の拡販を推進する。医療分野におけるAIとロボットの活用では、東京慈恵医科大学先端医療情報技術研究講座およびジェナ社と、医療機関で「Pepper」を使ったコミュニケーションシステムに関する共同研究も行っている。

 また18年9月には非接触充電機能搭載のビジネス向けIPテレフォニー用ハンドセット「Elite Station」の販売を開始した。各種ビジネスフォンの機能を搭載したタブレット向けIP電話ソフトもリリース予定としている。

■19年3月期大幅増収増益予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比18.8%増の25億円、営業利益が4.0倍の2億70百万円、経常利益が5.2倍の2億50百万円、純利益が4.4倍の1億70百万円としている。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比42.1%減の6億09百万円、営業利益が2億44百万円の赤字(前年同期は63百万円の黒字)、経常利益が2億20百万円の赤字(同73百万円の黒字)、純利益が2億22百万円の赤字(同57百万円の黒字)だった。

 サービス事業における前年同期の大口顧客向け「incredist」の反動、および「incredist Premium」の大口案件の納品期ズレで、減収・赤字だった。C&S事業、ECソリューション事業は概ね計画水準で順調だった。

 ただし通期予想に変化はなく、大口案件の売上計上で大幅増収増益予想である。

■キャッシュレス化の流れを追い風に収益拡大期待

 経済産業省の指針として、訪日観光客の利便性向上も視野に入れて、20年までに日本国内で接触型ICクレジットカード(EMV)決済を100%実現できるよう推進している。キャッシュレス化の流れが追い風であり、中期的に収益拡大が期待される。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は10月の戻り高値1555から反落して水準を切り下げたが、25日移動平均線に対するマイナス乖離率が拡大して売られ過ぎ感を強めている。11月21日の終値は1084円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS17円98銭で算出)は約60倍、時価総額は約103億円である。反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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