加賀電子は年初来安値更新も13期ぶり最高純利益、連続増配、積極的な中期計画を手掛かりに逆張り好機

株式市場 銘柄

 加賀電子<8154>(東1)は、前日20日に90円安の1949円と3日続落して引け、取引時間中には1937円と売られ今年8月21日につけた年初来安値1967円を更新した。日経平均株価が、大きく3日続落し終値ベースで今年3月23日につけた年初来安値2万0617円を下回ったことから、同社株にも持ち高を調整する売り物が出た。ただ、同安値は、バリュー的にもテクニカル的にも売られ過ぎを示唆しており、逆張りチャンスとなりそうだ。今年11月6日の今2019年3月期第2四半期(2018年4月~9月期、2Q)累計決算の発表に合わせて開示した今期通期純利益の13期ぶりの過去最高更新予想や連続増配、積極的な中期経営計画などが改めて見直される展開が有力だからだ。8月に1967円安値に突っ込んだ時も、売られ過ぎ訂正で2660円の戻り高値まで35%高しており、急騰相場の再現期待も高めよう。

――――次期中期計画推進で2022年3月期売上高は72%増、営業利益は68%増――――

 同社の今2019年3月期業績は、売り上げ2900億円(前期比22.9%増)、営業利益77億円(同5.2%減)、経常利益80億円(同8.5%減)、純利益73億円(同1.5%増)と予想され、純利益は、2006年3月期の過去最高(72億7200万円)を13期ぶりに更新する。電子部品事業の主力のEMS(生産受託)ビジネスでは、主要顧客の生産切り替えに対応した生産調整や海外工場を立ち上げた先行費用増などがあるが、車載・空調向けが順調に推移し、情報機器事業では、住宅向けの家電販売事業や商業施設向けLED設置ビジネスが順調で、第4四半期(2019年1月~3月期、4Q)からは、今年9月に発表した3段階に分けて約205億円で株式を取得して完全子会社化する富士通系列の半導体商社・富士通エレクトロニクスの業績が連結されることも上乗せ要因となる。純利益は、このM&Aに伴う負ののれん代も織り込み過去最高を更新する。

 一方、今期配当は、年間70円(前期実績60円)の普通配当に創立50周年の記念配当5円を上積みして75円(前期は特別配当10円込みで70円)へ連続増配する。また、2020年月3月期から推進する次期中期経営計画では、富士通エレクトロスを子会社化し5000億円級の企業グループとなることをテコに非連続的に事業を拡大させる。成長分野の車載、通信、環境、産業機器、医療・ヘルスケアを積極的に強化し、EMSビジネスの海外拡大に取り組み、積極的なM&Aで新事業領域を開拓し収益基盤をアップさせ、同時にグループ横断的なコスト削減施策にも注力して経営基盤も強化することによって、最終年度の2022年3月期には売り上げ5000億円、営業利益130億円を目指す。売り上げは、今期通期予想業績に対して72%増、営業利益は、同じく68%増と大きく伸びることになる。

――――今年9月の35%高の急騰相場再現期待を高めPER7倍台、配当利回り3.8%の修正高に再発進――――

 株価は、世界同時株安に巻き込まれて今年8月に突っ込んだ年初来安値1967円から、9月の富士通エレクトロニクス子会社化などで下げ過ぎ訂正買いが加速して2660円の戻り高値まで35%高した。同高値後も、今期純利益の過去最高更新予想、連続増配、次期中期経営計画などを評価して2400円台を固め上値を窺ったが、繰り返された世界同時株安の波及で下値を探り年初来安値まで往って来いとなった。バリュー的にもPERはわずか7倍台、配当利回りは3.84%、テクニカル的にも25日移動平均線から11%超のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆しており、9月の急騰相場再現期待を高め、まず戻り高値を奪回し3000円大台を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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