【アナリスト水田雅展の銘柄診断】JFEシステムズは調整一巡して再動意、今期大幅増益見通しを評価して10月高値を試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 システム開発のJFEシステムズ<4832>(東2)の株価は、10月の年初来高値1072円後に上げ一服の形だったが、12月4日には1049円まで上伸して10月高値に接近してきた。調整が一巡して再動意の構えのようだ。今期(15年3月期)大幅増益見通しや指標面の割安感を評価して10月高値を試す展開だろう。

 川崎製鉄(現JFEスチール)のシステム部門を分離した情報サービス企業である。鉄鋼向け情報システム開発・構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向けSI(システム・インテグレーション)事業や、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も展開している。戦略的アライアンス戦略では、13年5月に大阪ガス<9532>子会社オージス総研と協業、ビジネスブレイン太田昭和<9658>と資本・業務提携した。

 中期成長戦略として、鉄鋼事業でのJFEスチールと連携した製鉄所システム統合・共通化推進、JFEスチールの海外展開へのIT支援、ERPを核とした製造流通向け複合ソリューションの強化、自社プロダクト・ソリューション事業の強化(帳簿データ保存ソリューション、電子帳票システム「FiBridgeⅡ」のタブレット対応、MQネットによる原料規格書サービスなど)を掲げている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(4月24日公表)を据え置いて売上高が前期比2.5%増の360億円、営業利益が同37.8%増の15億20百万円、経常利益が同35.6%増の15億20百万円、純利益が同53.8%増の8億60百万円、配当予想が同6円増配の年間28円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(4月~9月)は前年同期比1.6%増収、同3.9倍営業増益、同3.7倍経常増益、同5.2倍最終増益だった。子会社でウインドウズ対応の機器販売特需が一巡したが、外販製造流通向け複合ソリューションの拡大、鉄鋼向けの収益力改善に加えて、高収益案件の売上前倒しなども寄与して期初計画を大幅に上回った。売上総利益率は17.6%で同1.8ポイント上昇した。

 通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が46.4%、営業利益が29.3%、経常利益が28.4%、純利益が27.8%とやや低水準だが、第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造のためネガティブ要因とはならないだろう。鉄鋼向けの大型案件、外販製造流通向けの拡大、自社プロダクトの拡販などが寄与して通期ベースでも大幅増益見通しだ。上ブレの可能性もあるだろう。

 株価の動きを見ると、第2四半期累計の増額修正を好感した10月17日の年初来高値1072円後は上げ一服の形だったが、12月4日には1049円まで上伸して10月高値に接近してきた。今期大幅増益見通しを評価して再動意の構えのようだ。

 12月4日の終値1048円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS109円51銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は2.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1226円53銭で算出)は0.9倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。強基調の形であり、指標面の割安感も支援材料として10月高値を試す展開だろう。

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