【アナリスト水田雅展の銘柄分析】第一実業は自律調整一巡して上値追い、16年3月期も好業績期待

銘柄分析

 機械専門商社の第一実業<8059>(東1)の株価は、3月27日の高値642円から利益確定売りで一旦反落したが、4月1日588円から切り返して7日は618円まで戻した。16年3月期も好業績が期待される。指標面の割安感が強く自律調整が一巡して上値追いの展開だろう。

 機械の専門商社で、プラント・エネルギー事業、エレクトロニクス事業、産業機械事業などを展開し、海外は米州、中国、東南アジア・インド、欧州の世界18カ国36拠点で事業展開している。

 13年5月発表の新経営計画「AIM2015」では、最終年度16年3月期の売上高1550億円、営業利益57億円、経常利益59億円、純利益37億円を目標値として掲げ、グローバルビジネスを積極展開している。

 新規事業としては、植物工場システムの販売に関するプロジェクトを立ち上げて、埼玉県入間市にパイロットプラントを建設した。また14年3月には長野県飯田市でメガソーラー「第一実業飯田太陽光発電所」が竣工した。茨城県笠間市の太陽光発電所に続く2カ所目のメガソーラーだ。

 バイナリー発電装置ビジネスに関しては焼却プラント6基、温泉地熱プラント5基が稼動している。14年4月に米アクセスエナジー社のバイナリー発電装置の日本国内での独占的製造権を取得し、14年5月には地熱・温泉業界向け小型バイナリー発電装置の独占販売代理店契約を締結した。地熱、温泉熱、焼却廃熱、一般工場廃熱など、未利用熱エネルギーを有効活用して発電するバイナリー発電システムの拡大を目指す戦略だ。

 連結子会社の第一メカテックのDJTECH事業部門を15年4月1日付で名古屋電機工業<6797>に譲渡した。DJTECH事業部門は高性能はんだ印刷検査装置の開発・製造・販売を行っており、これらに関するノウハウ・技術を名古屋電機工業と一元化する。そして名古屋電機工業と当該検査装置事業に係る代理店契約を締結し、製販サービスの一貫体制を強化して両社の事業拡大を目指すとしている。

 3月25日に「高機能フィルム展」(4月8日~10日東京ビックサイト)への出展、4月1日にFPD(フラットパネルディスプレイ)の開発・製造・技術に関する展示会「第25回ファインテックジャパン」(4月8日~10日東京ビックサイト)への出展、そして4月6日に医療機器製造・設計に関する総合展示会「MEDTEC JAPAN2015」(4月22日~24日東京ビックサイト)への出展を発表している。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(5月9日公表)は売上高が前々期比14.7%増の1400億円、営業利益が同22.7%増の50億円、経常利益が同16.2%増の52億円、純利益が同30.1%増の32億円としている。配当予想は年間16円(第2四半期末8円、期末8円)で前々期比2円減配だが、創立65周年記念配当3円を落としているため普通配当ベースで見れば実質的に1円増配となる。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比20.6%増収、15.3%営業増益、11.7%経常増益、41.8%最終増益だった。エレクトロニクス事業で電子部品実装機、産業機械事業で自動車関連や製薬関連、海外法人でアジアの電子部品実装関連設備や車載関連機器製造装置の好調が牽引した。純利益は法人税等調整額の減少も寄与した。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)320億72百万円、第2四半期(7月~9月)412億59百万円、第3四半期(10月~12月)299億74百万円、営業利益は第1四半期44百万円、第2四半期16億79百万円、第3四半期4億48百万円である。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高73.8%、営業利益43.4%、経常利益46.9%、純利益48.3%で低水準の形だが、大型案件の動向で四半期収益は変動しやすく、設備投資関連は第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造であることを考慮すれば、概ね順調な水準と言えるだろう。

 今期(16年3月期)も国内外で自動車関連業界を中心に設備投資需要が高水準に推移すると予想される。さらに電子部品実装関連などの需要も回復して好業績が期待される。

 株価の動きを見ると、3月27日高値642円から利益確定売りで一旦反落したが、4月1日の588円から切り返しの動きを強めている。7日は618円まで戻した。好業績見通しを評価する流れに変化はないようだ。

 4月7日の終値613円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS60円17銭で算出)は10倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.6%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS586円85銭で算出)は1.0倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を素早く回復した。また週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。16年3月期も好業績が期待される。指標面の割安感が強く自律調整が一巡して上値追いの展開だろう。

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