【アナリスト水田雅展の銘柄分析】山田コンサルティンググループは16年3月期も増収増益期待、中期成長力を評価して上値追い

銘柄分析

 山田コンサルティンググループ<4792>(JQS)経営・財務・M&Aなどのコンサルティング事業を展開している。株価は3月高値3665円から利益確定売りなどで一旦反落したが、素早く切り返して3500円台を回復している。16年3月期も増収増益が期待され、中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。

 各種コンサルティング事業を展開するグループの純粋持株会社である。傘下の事業会社では、山田ビジネスコンサルティングが経営・財務・事業承継・M&A支援などの経営コンサルティング事業、山田FASがM&A・企業再編の財務アドバイザイリー業務や中堅・中小企業対応M&A関連業務などの資本・株式・株主に関するコンサルティング事業、山田不動産コンサルティングが不動産有効活用などの不動産コンサルティング事業、東京ファイナンシャルプランナーズがFP資格取得講座などのFP関連事業、キャピタルソリューションおよび投資事業有限責任組合が投資ファンド事業(事業承継ファンド)を展開している。

 中期経営目標としてROE20%以上を掲げ、重点戦略としては大手金融機関・証券会社・地方金融機関・提携会計事務所との連携強化、中堅・中小企業対応M&A関連分野の拡大、中国現地法人およびシンガポール支店を拠点とした中国・アジア展開の強化などを推進している。投資ファンド事業では、事業承継問題を抱えている優良な中堅・中小企業をターゲットとして、投資リスクを最小限に抑えながら投資案件を発掘している。

 またコンサルティングニーズが「事業再生」だけでなく「事業成長」も顕在化しているため、こうしたニーズに対応すべく「事業再生コンサルティング中心」から「事業成長コンサルティング」も柱とするビジネスモデルへの変換を進めている。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(10月23日に増額修正)は売上高が前々期比8.3%増の84億円、営業利益が同11.9%増の19億20百万円、経常利益が同9.6%増の19億70百万円、純利益が同26.0%減の12億円としている。配当予想(5月8日公表)は年間90円(第2四半期末45円、期末45円)で、13年10月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に前々期比10円増配である。

 関係会社株式売却益や子会社間合併に伴う繰延税金資産計上の一巡で最終減益見通しだが、経営コンサルティング事業、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業、不動産コンサルティング事業が好調に推移しているようだ。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比6.1%増収、同8.3%営業減益、同4.4%経常増益、同35.1%最終減益で、通期見通しに対する進捗率は売上高が71.1%、営業利益が63.0%、経常利益が73.6%、純利益が74.8%だった。第4四半期(1月~3月)に事業承継関連およびM&A関連の一部がまとまって売上計上される予定としており、通期ベースで好業績が期待される。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)20億86百万円、第2四半期(7月~9月)20億59百万円、第3四半期(10月~12月)18億25百万円で、営業利益は第1四半期5億33百万円、第2四半期4億28百万円、第3四半期2億48百万円である。概ね順調に推移しているようだ。

 大型案件の計上などで変動しやすい収益構造だが、専門コンサルとしての認知度が向上した効果で、今期(16年3月期)も経営コンサルティング事業で事業承継関連、資本・株式・株主に関するコンサルティング事業でM&A仲介案件などが好調に推移して増収増益が期待される。中期的にも収益拡大基調だろう。

 なお14年5月発表の自己株式取得(取得株式総数の上限10万株、取得価額総額の上限2億円、取得期間14年6月1日~15年3月20日)については3月20日に終了している。累計取得株式総数は6万2700株、累計取得価額総額は1億9973万6900円だった。

 株価の動きを見ると、3月18日の高値3665円から利益確定売りや3月期末の配当権利落ちなどで一旦反落したが、4月2日の取引時間中3315円から切り返し、素早く3500円台を回復して3月高値に接近している。中期成長力を評価する流れに変化はないようだ。

 4月8日の終値3555円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS248円97銭で算出)は14~15倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間90円で算出)は2.5%近辺、そして前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS1518円77銭で算出)は2.3倍近辺である。

 日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を素早く回復した。また週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。16年3月期も増収増益が期待され、中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。

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