クレスコは下値切り上げ、19年3月期は9期連続増収増益予想、20年3月期も収益拡大期待

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 クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、カーエレクトロニクス関連などの組込型ソフトウェア開発も展開している。19年3月期は受注が高水準に推移して9期連続増収増益予想である。20年3月期も収益拡大を期待したい。株価は反発力の鈍い展開だが下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。なお5月9日に19年3月期決算発表を予定している。

■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開

 ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。

 18年3月期セグメント別売上高構成比は、ソフトウェア開発事業83%(金融・保険分野36%、公共・サービス分野23%、流通・その他分野24%)、組込型ソフトウェア開発事業16%(通信システム分野2%、カーエレクトロニクス分野6%、情報家電等・その他分野9%)、その他事業(商品・製品販売等)0%である。

 18年1月システム開発のネクサスを子会社化、18年3月子会社メディア・マジックが商号をメクゼスに変更、18年4月子会社のアイオスとアプリケーションズを統合、18年9月アルスを子会社化、18年10月アイオスがイーテクノを子会社化した。また19年4月には子会社のクレスコ九州を吸収合併した。

 収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる季節特性がある。配当に関しては、特別損益を零とした場合に算出される当期純利益の40%相当額をメドとした配当を継続的に実現することを目指している。

■中期成長に向けて先端技術への取り組み強化

 中期成長に向けた重点施策として、コア事業(システム基盤、アプリケーション開発、組み込み)を組み合わせたビジネスの推進、デジタル変革をリードする先端技術(AI、Robotics、IoT)の研究・拡大、品質・生産性の徹底的追求、サービスビジネスの推進、グループシナジー強化およびM&A・アライアンスの推進、開発体制の拡充(ニアショア、オフショア、ビジネスパートナー)、積極的な情報発信(PR、IR)などを推進している。

 オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 17年11月には、眼疾患をスクリーニングする人工知能エンジン「Minervae SCOPE」を、医療機器メーカー向けに研究用として提供開始した。17年12月には、AI型電子カルテシステムと歯科診療所向けアシスタントロボットを開発した。18年7月には、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)プラットフォーム「UiPath」を提供する米UiPathとの認定リセラー・パートナー契約締結を発表した。19年3月には、医療画像解析ソフトウェアがニデックの画像ファイリングソフトウェアNAVIS-EXに採用された。

■19年3月期は9期連続増収増益予想、20年3月期も収益拡大期待

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.5%増の355億円、営業利益が6.1%増の32億80百万円、経常利益が2.5%増の35億80百万円、純利益が9.7%増の24億16百万円としている。受注が高水準に推移して9期連続増収増益予想である。配当予想は記念配当10円を落として年間64円(第2四半期末32円、期末32円)としている。18年3月期との比較で8円減配だが、普通配当ベースでは2円増配となる。予想配当性向は29.0%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比5.6%増の258億28百万円、営業利益が0.8%増の23億16百万円、経常利益が1.1%減の26億54百万円、純利益が2.7%減の16億73百万円だった。

 需要が高水準に推移し、顧客ポートフォリオおよび子会社を含む事業体制の見直しも寄与して増収、営業増益だった。ただし営業利益は金融案件の剥落、上期に発生した不採算プロジェクトの収束対応、一部子会社の業績低迷で伸び悩んだ。経常利益と純利益は営業外での有価証券評価損の増加、有価証券売却益の減少で微減益だった。なお受注高は8.6%増の267億70百万円だった。

 ソフトウェア開発は新規連結効果も寄与して3.7%増収(金融分野が13.6%減収、公共サービス分野が12.5%増収、流通・その他分野が22.0%増収)だったが、メガバンク大型案件の剥落、上期に発生した不採算プロジェクトの収束対応などで7.5%減益だった。

 組み込み型ソフトウェア開発は16.7%増収(通信分野が1.8%増収、カーエレクトロニクス分野が20.0%増収、情報家電・その他分野が17.0%増収)となり、受注単価見直し、生産性改善、開発体制強化なども寄与して31.7%増益だった。カーエレクトロニクス分野では主力のインフォテイメント系や表示系が好調だった。

 第3四半期累計の進捗率は72.8%、営業利益70.6%である。第4四半期の構成比が高い特性を考慮すれば概ね順調だ。通期ベースで好業績を期待したい。そして20年3月期も収益拡大を期待したい。

■株価は下値切り上げ

 株価は反発力の鈍い展開だが下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。4月17日の終値は3350円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS220円84銭で算出)は約15倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間64円で算出)は約1.9%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1379円38銭で算出)は約2.4倍、時価総額は約402億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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