日本エンタープライズは下値固め完了感、事業ポートフォリオ再構築で収益改善期待

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 日本エンタープライズ<4829>(東1)は事業ポートフォリオ再構築を推進している。19年5月期大幅増益予想である。第3四半期累計の進捗率が低水準のため下振れに注意が必要だが、事業ポートフォリオ再構築で20年5月期の収益改善を期待したい。株価は反発力の鈍い展開だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。

■事業ポートフォリオ再構築

 クリエーション事業(交通情報、ライフスタイル、エンターテインメントなどのモバイルコンテンツをキャリアの定額制サービスで配信するコンテンツサービス、ビジネスサポートサービス、太陽光発電など)と、ソリューション事業(システム受託開発・運用サービスなど)を展開している。

 中期成長に向けて事業ポートフォリオを再構築し、18年2月に店頭アフィリエイトサービス事業を譲渡、18年3月に中国で携帯電話販売事業を展開する連結子会社の出資金持分を売却した。

 クリエーション事業のコンテンツサービスは、ヘルスケアアプリ「女性のリズム手帳」、フリマアプリ「フリマjp」、交通情報サービス「ATIS交通情報サービス」、電子書籍サービス「BOOKSMART」を中心に、効率的な運用で収益確保を目指す。

 ビジネスサポートサービスは、交通情報サービスのライセンス提供や法人向けクラウドサービスの開発、EC関連の受託開発、IP電話アプリ「AplosOne」やチャットアプリ「Fivetalk」など独自ブランド・パッケージサービスの強化を推進する。RPAツール「Kitting-One」や鮮魚EC「いなせり」の拡大も推進する。

 18年2月には、子会社の会津ラボとエナリス<6079>が、福島県の再生可能エネルギー関連技術実証支援事業の一環として、ブロックチェーンと「SMART PLUG」を活用した「高齢者見守りサービス」の実証試験を開始した。

 18年7月には、福島県平成30年度福島県海外連携型再生可能エネルギー関連研究開発支援事業に、会津ラボのEU向けスマートプラグの試作品開発が採択された。また福島県の「自動運転に係る情報基盤の構築およびまちなか巡回車両の実用化に向けた実証実験」第2期実証実験が採択された。

 18年9月には法人向けに中古端末(スマホ、携帯電話、PC、タブレットなど)の買取サービスを開始した。

■20年5月期収益改善期待

 19年5月期の連結業績予想は、売上高が18年5月期比0.1%増の38億95百万円、営業利益が62.9%増の2億85百万円、経常利益が34.0%増の3億45百万円、純利益が5.3%増の1億75百万円としている。配当予想は18年5月期と同額の年間2円(期末一括)で、予想配当性向は45.9%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比19.5%減の24億06百万円、営業利益が6.2%増の78百万円、経常利益が10.1%減の1億27百万円、純利益が55.8%減の29百万円だった。事業ポートフォリオ再構築(店頭アフィリエイトおよび中国子会社の譲渡)も影響して減収だが、売上原価や販管費が減少して営業増益だった。

 クリエーション事業は10.9%減収だった。ビジネスサポートサービスが増加したがコンテンツサービスが減少した。ソリューション事業は28.2%減収だった。システム開発・運用サービスが増加したが、店頭アフィリエイト事業譲渡および中国子会社の譲渡が影響した。

 通期も、事業ポートフォリオ再構築に伴う事業譲渡の影響で売上高は横ばい予想だが、クリエーション事業のビジネスサポートサービスおよびソリューション事業のシステム開発・運用サービスが伸長し、店頭アフィリエイト事業譲渡および中国子会社の譲渡で売上総利益率が改善して大幅増益予想である。

 第3四半期累計の進捗率は売上高61.8%、営業利益27.5%と低水準のため下振れに注意が必要だが、事業ポートフォリオ再構築で20年5月期の収益改善を期待したい。

■株価は下値固め完了感

 株価は反発力の鈍い展開だが下値固め完了感を強めている。出直りを期待したい。4月26日の終値は171円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS4円36銭で算出)は約39倍、今期予想配当利回り(会社予想年間2円で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS122円89銭で算出)は約1.4倍、時価総額は約69億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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