【アナリスト水田雅展の銘柄分析】建設技術研究所は調整一巡感、出遅れ株物色の流れで反発

銘柄分析

 建設コンサルタント大手の建設技術研究所<9621>(東1)の株価は調整局面が続いたが、3月中旬~下旬の安値圏1200円台前半で調整一巡感を強めている。指標面に割安感があり、出遅れ株物色の流れに乗りそうだ。15年12月期業績増額の可能性を評価して反発展開だろう。

 総合建設コンサルタントの大手で河川・ダム・海岸・海洋、道路、橋梁、トンネル、都市・地方計画などの分野に強みを持っている。

 中期経営計画では「マルチインフラ企業」を目指し、従来の建設コンサルタント業務から周辺分野への業務拡大を進めている。特に防災・減災計画関連、都市計画関連、環境関連などを重点分野と位置付けて、再生エネルギーを活用するスマートコミュニティ、民間資金を活用するPFI・PPP事業、そして鉄道や物流などの分野への取り組みも強化している。

 13年9月には農業・農村関連ビジネスへの参入を視野に入れて子会社CTIフロンティアを立ち上げ、14年4月には太陽光発電事業に着手した。

 3月27日にはユニチカ<3103>からユニチカ環境技術センターの全株式を取得して完全子会社化(株式譲渡6月30日予定、譲渡価額2億50百万円)すると発表した。同社の子会社化によって土壌、大気、水質などさまざまな環境要素のモニタリング・解析が可能となり、当社グループの環境分野でのソリューション提供力のさらなる強化を目指すとしている。

 今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月13日公表)は売上高が前期比3.7%増の410億円、営業利益が同4.6%増の25億円、経常利益が同3.0%増の26億円、純利益が同4.0%増の15億50百万円、配当予想が前期と同額の年間18円(期末一括)としている。

 東日本大震災の復興関連業務の重点が設計段階から施工段階に移行することに加えて、財政再建のための公共工事発注減少も予想されるとして、前期の大幅増益に比べてやや慎重な見通しだ。受注高は同0.9%減の400億円の計画としている。

 ただし国土強靭化基本計画に沿って社会資本整備に対する計画的な投資が実行される。20年東京夏季五輪関連、リニア新幹線関連など建設ビッグプロジェクトも目白押しであり、防災・減災関連、老朽化インフラ補修・更新関連、都市再開発関連、アベノミクス重点戦略「地方創生」関連の案件増加が追い風となる。会社見通しは保守的な印象が強く増額の可能性があるだろう。中期的に事業環境は良好であり、周辺分野の強化も奏功して収益拡大基調が期待される。

 株価の動きを見ると、14年10月高値1942円から反落して調整局面が続いたが、3月中旬~下旬の安値圏1200円台前半で調整一巡感を強めている。4月8日には1322円まで上伸する場面があり、その後も1200円台後半で推移して下値を固める動きだ。

 4月17日の終値1273円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS109円61銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1539円79銭で算出)は0.8倍近辺である。

 日足チャートで見ると戻りを押さえていた25日移動平均線を突破した。また週足チャートで見ると13週移動平均線にチャレンジする形だ。指標面に割安感があり、出遅れ株物色の流れにも乗りそうだ。15年12月期業績増額の可能性を評価して反発展開だろう。

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