【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ビー・エム・エルは今期業績増額の可能性を評価して出直り

銘柄分析

 受託臨床検査大手のビー・エム・エル<4694>(東1)の第3四半期累計(4月~12月)業績は減益となりましたが、株価は今期(15年3月期)見通しに対する高進捗率を好感して1月の直近安値圏3000円近辺から切り返しの動きを強めています。2月20日には3400円まで上伸しました。今期業績増額の可能性を評価して出直りの動きが本格化しそうです。

 臨床検査事業を主力として、腸内細菌検査や食品衛生コンサルティングなどの食品衛生検査事業、電子カルテなどの医療情報システム事業、そしてSMO(治験支援)事業も展開しています。

 事業基盤強化と収益力向上に向けてM&Aの積極活用、臨床検査事業でのクリニック市場の開拓、既存ユーザーへの深耕、首都圏のラボ拠点再編、ピロリ菌関連検査やアレルギー検査など重点検査項目の拡販、子会社の経営合理化、食品衛生事業での腸内細菌検査やノロウイルス検査などの拡販、新検査センター開設(14年5月、埼玉県川越市)に伴う検査領域・検査数量の拡大、厚生労働省の「登録検査機関」の資格取得、医療情報システム事業での電子カルテ「クオリス」のブランド向上などを推進しています。14年6月には岡山医学検査センターを子会社化しました。

 海外は13年12月、中国・上海に合弁会社(上海千麦博米楽医学検験所有限公司)を設立しました。現地で臨床検査センター運営の実績を持つ上海千麦医療投資管理有限公司、および上海新虹橋国際医学中心建設発展有限公司と3社合弁で、中国でも臨床検査受託事業を展開します。

 2月9日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.5%増の795億49百万円、営業利益が同13.2%減の62億33百万円、経常利益が同12.5%減の65億87百万円、純利益が同14.7%減の36億76百万円となりました。

 利益面では診療報酬改定、消費増税に伴う受診控え、競争激化による価格下落、岡山医学検査センターのれん償却、人件費の増加などが影響して減益となりました。しかし売上面ではクリニック市場での新規開拓強化、既存ユーザーへの深耕営業強化、重点検査項目の営業推進強化、食品衛生事業の新検査センター稼働、さらに岡山医学検査センターの新規連結などが寄与して好調に推移しているようです。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)266億93百万円、第2四半期(7月~9月)262億67百万円、第3四半期(10月~12月)265億89百万円で、営業利益は第1四半期22億61百万円、第2四半期19億19百万円、第3四半期20億53百万円です。

 通期の連結業績見通しは、前回予想(8月14日に売上高を増額、利益を減額)を据え置いて、売上高が前期比5.4%増の1043億50百万円、営業利益が同18.8%減の66億50百万円、経常利益が同17.9%減の70億50百万円、純利益が同23.6%減の38億10百万円としています。

 配当予想(5月12日公表)は、期末に記念配当10円を実施して同10円増配の年間60円(第2四半期末25円、期末35円=普通配当25円+記念配当10円)としています。

 競争激化に加えて、岡山医学検査センターの株式取得に係るのれん償却増なども影響するとして通期見通しを据え置いていますが、通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.2%、営業利益が93.7%、経常利益が93.4%、純利益が96.5%と高水準です。会社見通しには保守的な印象が強く増額の可能性があるでしょう。

 株価の動きを見ると、1月の直近安値圏3000円近辺から切り返しの動きを強めています。2月20日には3400円まで上伸しました。第3四半期累計の高進捗率も好感されて調整が一巡したようです。

 2月23日の終値3325円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS179円39銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間60円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS2598円60銭で算出)は1.3倍近辺です。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を突破しました。強基調へ転換した形です。今期業績増額の可能性を評価して出直りの動きが本格化しそうです。

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