【どう見るこの相場】「トランプ米大統領」リスクより、中間業績の上方修正銘柄の秋相場を優先

どう見るこの相場

■トランプ・リスクの「百年河清」より中間業績の上方修正銘柄に

 「百年河清を俟(ま)つ」という中国の諺がある。どんなに長くいくら強く願っても叶えられない高望みすることの愚かさを教えてくれている。広大な中国大陸を流れる大河(黄河)の濁流は、100年待っても200年待っても日本の清流のように澄み渡ることはないことを引き合いに出して例えたものだ。

 では、現在の世界のマーケットの下押し圧力となっている「トランプ・リスク」、「トランプ・スランプ(不況)」、「トランプ・ハプニング」は、何年待てばクリアになるのか?トランプ米大統領の「自国第一主義」の最優先の政策目標は、来年11月の大統領選挙での再選といわれてきて久しい。そのためにオバマ前大統領が実現した「オバマ・ケア」にクレームをつけ、イランとの核合意、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、地球温暖化防止のパリ協定などすべてから脱退して政策の違いを際立たせ、さらに景気拡大のためにFRB(米連邦準備制度理事会)に金利引き下げ圧力を強めてきた。とういことは、来年の11月まであと1年3カ月待てば、マーケットの不透明性が解消し「河清」が実現することになるのだろうか?

 ただ、米国と中国との間の貿易戦争についてだけは、どうもそうはいかないフシがうかがえる。というのも、来年11月の大統領選挙で仮りに民主党候補が当選して政権交代になったとしても、民主党自体も、中国の知的財産権問題や人権問題、軍事的な突出などに関して強硬派が多いといわれているからである。とすれば、米中の覇権争いは、さらにエスカレートしてそれこそ「百年河清を俟(ま)つ」超長期戦となることも想定せざるを得ないことになる。

 週明けから始まる秋相場も、なかなかモチベーションが高まらず気重い展開も覚悟が必要かもしれない。しかも、前週末には市場の一部には、トランプ大統領のツイート投稿に反応して9月1日に予定していた対中制裁関税第4弾の発動が延期させるのではないかと希望的に観測されていたものの、9月1日に米中双方が制裁・報復の応酬を繰り返しただけに、この反動も心配される。要は「トランプ・リスク」や「トランプ・スランプ」の早期一巡を期待して、トランプ大統領のツイート発言に一喜一憂するから、逆に買い付けば振るい落とされ、売り向かえば踏み上げさせられるなど散々に振り回されるのである。だからここは居直って、「トランプ・リスク」を議論の余地のない与件として捉えれば、もう少し落ち着いて別次元の相場シーンがみられるかもしれない。

 そこで今回の当コラムでは、「百年河清を俟(ま)つ」のではなく、あと1カ月か2カ月待って秋相場のテーマ株に浮上するかもしれない銘柄群に注目することとした。今年7月末から8月にかけた四半期決算の発表時に中間期業績を上方修正した銘柄である。通常の業績上方修正銘柄といえば、通期業績を上方修正した銘柄になる。しかしにもかかわらず、決算期は12月期、3月期、1月期と異なるが、中間期業績を上方修正した銘柄をなぜ取り上げるかといえば、修正を慎重に中間期業績のみにとどめたことは、決算期の進行とともに通期業績を上方修正するもう一度のチャンスを内包していることになるかもしれないからだ。

 通期業績を据え置いた要因としては、景気動向や為替の推移、消費税増税の影響、原材料価格の方向などの不透明材料が並べられたが、次の四半期決算発表時の今年10月~11月にその不透明材料の方向性がもう少し明らかになってくるはずだ。株価も、中間期業績の上方修正を歓迎高し、その後は調整場面となっている銘柄が多いが、通期業績が上方修正されれば再騰、「ひとこぶラクダ」が「ふたこぶラクダ」に大変身する展開も想定される。手掛かり難の足元相場で、独自人気を高めそうで、先取りにも一考余地が生じてくる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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