【アナリスト水田雅展の銘柄分析】新日本建物は下値固め完了感、収益改善基調を評価して水準切り上げ

銘柄分析

 マンション・戸建販売の新日本建物<8893>(JQS)の株価は、概ね45円~50円近辺でモミ合う展開が続いている。13日発表の15年3月期利益増額修正を材料視する動きも限定的だった。ただし下値固め完了感も強めている。収益改善基調を評価して水準切り上げの展開だろう。

 首都圏地盤の不動産デベロッパーで、流動化事業(他デベロッパー向けマンション用地販売)、マンション販売事業(自社開発物件の分譲、新築マンションの買取再販)、戸建販売事業(戸建住宅・宅地分譲)、その他事業(不動産賃貸や建築工事請負)を展開している。

 10年11月に提出した事業再生計画に基づいて、マンション販売事業の買取再販、流動化事業の専有卸、戸建住宅販売事業を主力として経営再建に取り組んでいる。そして14年3月期には事業再生計画決定後3期連続の最終黒字を達成し、14年3月期末の自己資本比率は27.5%まで改善した。

 4月13日に前期(15年3月期)業績(非連結)見通し修正を発表した。前回予想(5月9日公表)に対して売上高は30億70百万円減額して前期比14.2%減の92億30百万円、営業利益は10百万円増額して同2.7%増の6億80百万円、経常利益は1億35百万円増額して同23.6%増の5億40百万円、純利益は1億20百万円増額して同20.4%増の5億20百万円とした。

 戸建販売事業の引き渡し戸数は計画を上回ったが、マンション販売事業の引き渡し戸数と流動化事業の新規物件が減少して売上高を大幅減額した。ただし利益面では流動化事業における大型物件の成約・引き渡し、借入圧縮に伴う支払金利の減少が寄与して各利益を増額修正した。

 収益改善は着実に進展しており、今期(16年3月期)は増収増益が期待されるだろう。

 株価の動きを見ると概ね45円~50円近辺でモミ合う展開が続いている。15年3月期の利益増額修正を材料視する動きも限定的だった。ただし下値固め完了感も強めている。

 4月21日の終値47円を指標面で見ると、前期推定PER(会社予想のEPS5円22銭で算出)は9倍近辺、前々期実績PBR(前々期実績のBPS15円98銭で算出)は2.9倍近辺である。

 週足チャートで見ると上向きに転じた26週移動平均線が下値を支える形となり、26週移動平均線が52週移動平均線を上抜くゴールデンクロスも接近している。下値固めが完了して強基調に転換する形であり、収益改善基調を評価して水準切り上げの展開だろう。

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