ジェイエスエスは調整一巡、新型コロナ影響が和らいで収益回復基調

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 ジェイエスエス<6074>(JQ)はスイミングスクールを全国展開し、スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。成長戦略としてスイミングにとどまらず健康運動への取り組みも推進している。22年3月期は新型コロナ影響が和らいで大幅営業・経常増益、最終黒字転換予想としている。なお緊急事態宣言・まん延防止等重点措置解除に伴い、感染予防対策に努めながら徐々に観覧席の開放や入退館時の規制緩和を進める方針だ。収益回復基調を期待したい。株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■スイミングスクール運営首位

 スイミングスクールを直営と受託で全国展開している。21年3月末現在の事業所数は直営62ヶ所、受託21ヶ所、合計83ヶ所(うちコンパクトプール15か所)である。スイミングスクール特化型企業では首位の施設数を誇っている。成長戦略として新規出店や商品開発強化などを推進するとともに、スイミングにとどまらず健康運動への取り組みも推進している。

 21年3月期末の会員数は、子供会員が20年3月期末比6.5%減の8万331人、大人会員が11.3%減の9998人、合計が7.0%減の9万329人となった。21年3月期は新型コロナ影響を受けた。なお育成選手の実績として、瀬戸大地選手、渡部香生子選手、荒井祭里選手、玉井陸斗選手など多くの有力選手を輩出している。

 スクール事業の強みには、総合フィットネスクラブとの比較で景気に左右され難いという点がある。入会から四泳法習得まで2~3年の安定した在籍が期待され、ベビーからの入会や選手コースへの進級で長期在籍の可能性も高まる。大人会員は高齢者が中心で、生涯スポーツ化も期待される。

 20年3月には、ニチイ学館<9792>との資本業務提携を解消し、日本テレビホールディングス<9404>と業務資本提携した。日本テレビホールディングスのグループ会社でフィットネスジムを展開するディップネス(20年4月1日現在、関東エリアを中心に全国173店舗を展開)と協業してシナジーを創出する。

■新規出店や商品開発強化を推進

 中期経営計画(21年6月にローリング)では目標数値として、最終年度24年3月期の売上高91億円、経常利益4億37百万円、当期純利益2億76百万円、EPS71円24銭を掲げている。

 重点施策として、事業戦略では年間2事業所程度の着実な出店、中高年層をターゲットとしたプログラムの開発、水泳指導技術を活かした商品開発の強化、東京オリンピックへ向けての選手強化、業務受託および業務提携など事業パートナーとの連携、人事戦略では教育・研修の充実、評価制度・昇給制度の改革、女性社員の職域拡大と活用の高度化、財務戦略ではコロナ以前の業績回復、東証市場区分見直しへの対応を推進する。

■22年3月期大幅営業・経常増益予想

 22年3月期業績(非連結)予想は売上高が21年3月期比18.6%増の77億円、営業利益が3.4倍の2億79百万円、経常利益が3.2倍の2億87百万円、当期純利益が2億01百万円の黒字(21年3月期は4億40百万円の赤字)としている。配当予想は50銭増配の11円(第2四半期末5円、期末6円)である。

 第1四半期は、売上高が前年同期比92.1%増の18億07百万円、営業利益が57百万円の黒字(前年同期は6億56百万円の赤字)、経常利益が56百万円の黒字(同6億56百万円の赤字)、四半期純利益が6百万円の赤字(同4億70百万円の赤字)だった。

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続しているが、前年同期との比較では影響が和らぎ、大幅増収で営業・経常利益が黒字転換した。全事業所合計の第1四半期末会員数は前年比0.6%増の9万855人となった。なお緊急事態宣言を受けて一部店舗の臨時休業を行ったため、臨時休業期間中に発生した固定費を特別損失として65百万円計上した。

 通期は大幅増収、大幅営業・経常増益、最終黒字転換予想としている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響が和らいで増収を見込み、これに伴って利益も回復する見込みとしている。新規施設については既存施設の新築移転を含めて2店舗程度の開設を計画している。ディップネスとの協業も本格化する見込みだ。なお緊急事態宣言・まん延防止等重点措置解除に伴い、感染予防対策に努めながら徐々に観覧席の開放や入退館時の規制緩和を進める方針だ。収益回復基調を期待したい。

■株主優待制度は3月末と9月末の年2回

 株主優待制度は毎年3月31日および9月30日の年2回、1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。保有株式数に応じて優待券(詳細は会社HP参照)を贈呈する。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが、調整一巡して出直りを期待したい。10月15日の終値は466円、今期予想PER(会社予想のEPS51円97銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の11円で算出)は約2.4%、前期実績PBR(前期実績のBPS615円21銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約19億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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