フェローテックホールディングスは調整一巡、20年3月期減益予想だが21年3月期収益回復期待

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 フェローテックホールディングス<6890>(JQ)は半導体等装置関連事業を主力としている。20年3月期は減益予想だが、21年3月期の収益回復を期待したい。株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが、徐々に下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。

■半導体等装置関連事業が主力、太陽電池関連事業は撤退方針

 半導体等装置関連事業(真空シールおよび各種製造装置向け金属加工製品、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、シリコンウェーハ加工、装置部品洗浄など)を主力として、電子デバイス事業(サーモモジュール、パワー半導体用基板、磁性流体など)も展開している。主力の真空シールは世界シェア6割強である。

 19年3月には東洋刃物<5964>と資本業務提携して持分法適用関連会社化した。19年8月には、中国の子会社が中国の投資ファンドと共同で、半導体シリコンウェーハ再生サービス事業参入のための新会社を設立すると発表した。

 太陽電池関連事業(シリコン結晶製造装置、シリコン製品など)は撤退方針である。当面は自社販売から撤退してOEMに特化し、OEM用途以外の設備は半導体Siパーツ構造材用途への転換を進める。またOEM継続も短期的対応であり、基本的には19年中を目途に事業撤退方針である。撤退時期については、既存設備の売却交渉や撤退に伴う様々な影響度合いによって変更の可能性がある。

 なお中国子会社FTHWが進めている半導体大口径ウェーハ工場建設工事に絡み、施行工事事業者2社から工事代金に関連した訴訟を提起された件に関して、当社の正当性を主張していくとしている。

■20年3月期減益予想だが21年3月期収益回復期待

 20年3月期連結業績予想(11月7日に売上高、利益とも下方修正)は、売上高が19年3月期比5.0%減の850億円、営業利益が26.0%減の65億円、経常利益が44.2%減の45億円、純利益が12.1%減の25億円としている。配当予想は19年3月期と同額の24円(第2四半期末12円、期末12円)である。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比7.5%減の418億49百万円、営業利益が29.6%減の35億66百万円、経常利益が49.2%減の24億72百万円、純利益が45.5%減の15億39百万円だった。

 デバイスメーカー各社の設備稼働率が低調で減収減益だった。営業利益は中国子会社における中国国内取引先に対する貸倒引当金繰入額4億62百万円計上、研究開発費の増加、経常利益は中国子会社における為替差損9億84百万円計上も影響した。

 半導体等装置関連事業は1.4%減収で47.0%減益だった。ウェーハ加工は一定の水準で推移したが、真空シールおよびマテリアル製品が軟調だった。電子デバイス事業は18.9%増収で7.2%増益だった。パワー半導体用基板が伸長した。

 通期もデバイスメーカー各社の設備稼働率の調整局面が継続する見込みで減収減益予想とした。修正後の売上予想は半導体等装置関連事業が4.5%減収、電子デバイス事業が3.1%増収、その他が12.0%減収としている。21年3月期の収益回復を期待したい。

■22年3月期営業利益125億円目標

 新中期経営計画では目標値に22年3月期売上高1250億円~1300億円、営業利益120億円~130億円などを掲げている。半導体市場が不透明のためレンジ目標としている。

 戦略製品の4事業への注力を推進する。22年3月期の売上高目標は半導体マテリアルが391億円(19年3月期実績286億円)、ウェーハが282億円(同72億円)、パワー半導体が70億円(同20億円)、部品洗浄が85億円(同35億円)としている。太陽光電池事業は消耗品販売のみにシフトして事業ポートフォリオ改善を推進する。

 設備投資は中長期ニーズを見据えて、中国におけるウェーハ量産(22年3月期目標は大・中・小口径合計で月産約88万枚体制)を推進する。設備投資額は3期間合計で約710億円を予定し、中国における中・大口径ウェーハ投資が集中する20年3月期(480億円)がピークとなる見込みだ。株主還元は業績向上に伴って増配を検討する。

■株価は調整一巡

 株価は反発力が鈍く安値圏でモミ合う形だが、徐々に下値を切り上げている。調整一巡して出直りを期待したい。12月23日の終値は934円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS67円45銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の24円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1337円33銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約348億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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